― 2回目のパリ旅は、パンがメインじゃなかったんですよね。
上坂・・・もちろんパンははずせないけれども、町歩きの楽しさを追求した旅でした。物欲よりも「目でみるパリ」という感じで、路地を探険したりとか。本屋さんとかも大好きなので。
街角のブックマーケットで
― 私もパンと本屋さんが好きで、好きで。何か共通するものありますよね。パン屋と本屋。
上坂・・・あ、そうかも! 買わなくても、たくさん並んでいるとワクワクするというところ。本屋さん、最高ですよね。フランスの本屋さんは日本とまた違った雰囲気で、古いものをうんと大切にしているというか。パリで行った本屋さんは、奥の方にいくと、とっても大きな梯子があって、またその梯子じゃないといけないようなところに本がたくさんあったりして、面白かった~
天井までびっしり並ぶパリの本屋さん
― 並べ方も素敵ですか?
上坂・・・素敵です! 整然として図書館みたい。私はやっぱり、本屋さんとパン屋さんのある場所に住みたいですね。あと、映画館もあれば最高ですけど。
― それ、全くの同感です。でも2回目のパリでもパン屋巡りはされたんですよね。
上坂・・・もちろん!
またまた「ポワラーヌ」へ。 名物パン「ミッシュ」が並ぶおなじみの光景
― その時、食べたパンで「もう一度食べたい」というパンはありますか?
上坂・・・何度も言っちゃいますが「ピスタチオとジンジャーのパン」ですね。絶妙じゃないですか? 大人な感じで。日本でなぜ、この組み合わせが出てこないんだろう。ぜひ作ってほしいですね。
左上がピスタチオとジンジャーのパン
― 2回のパリでのパン巡りを経て、今、パンについての思いはどうなってますか?
上坂・・・本当のこというと、ご飯が好きか、パンが好きかと言われたら…今はイコールぐらいですね。しばらく前から、知人の畑作りのお手伝いをして、そこでできる玄米を食べてるんです。その玄米がおいしくて。
だけど、1日3食パンでも大丈夫なんです(笑)。でも1日1回必ずパンを食べたいというのでもない。なんか矛盾してますよね。コンビニパンも好きです。B級パンも嫌いじゃない(笑)
― 私はパンをしばらく食べないと、禁断症状があるんですが、そんなのってありますか?
上坂・・・1週間食べないというのはまずありえないし、禁断症状の自覚はないけれども、考えてみると3日ぐらいですかね、たぶん。
― よく行く定番のパン屋さんはありますか?
上坂・・・実は…最近ないんですよね。ここじゃなくては、という感じじゃなくなってきた。でも、昔からの確かな味というと、やっぱり「たね」(※「ラ・フィセル」の現在のお店)ですね、本当においしいと思えるのは。最近はあまり行けないんですが。
― パンに対する情熱はやや冷めてきた?
上坂・・・確かに、昔は「どうせ食べるなら、ちょっと無理して自分の好きなパンを」という思いがありました。野々市のFMの仕事の後、次の仕事まで時間が開いてたら、白山麓の鶴来の「あさひ屋ベーカリー」まで行ったりとか。
― それって、かなり遠い(笑)
上坂・・・そんなだったのに、なんだか最近は「ま、ご飯でもいっか~」という気持ちになってしまうことが多くて。
― もしかして、おいしいパンを知り過ぎてしまったせい?
上坂・・・そうかも。よくないなぁ。それと、知人の畑に行くと、お焦げ付の玄米ご飯たくさんもらうんですよ。それを冷凍にして食べてるので、ご飯中心の食生活に慣れてしまったせいもある。煮ものとか、じみ~な玄米に合う和食がおいしいんです。単純に年齢のせいなのかなぁ。
― でも、玄米に合うおかずって、パンにも合いますよね。前に出てきた「ルヴァン」(※その1をご覧ください)のカフェ「ル・シァレ」のプレートランチは、和のお惣菜たっぷりでしたよ。
以前食べた「ル・シャレ」のプレートランチ
上坂・・・ああいう、シンプルなハード系パンには、和食のおかずはとっても合いますよね。骨太というか、がっちりしたパン。玄米に負けないほどの迫力あるパンなら。でも、やっぱり県内にはなかなかないですよね。最近、やわらかいパンは食べても食べても、なんか満足できなくなってきて…
― それって、極めすぎた悲劇かも。
上坂・・・かもしれない…。