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vol.2 永野真弓さん その2

Oi-pan interview パン屋さんの「なんでパン?」をうかかがいます。

●永野真弓(ながのまゆみ)さんのプロフィール
石川県白山市生まれ。金沢工業大学工学部卒業後、
コンピューター会社、JICAなどに勤務。
OLとして働く傍ら、パン教室で学び、
いつしか求められるままにお店や個人にパンを卸すように。
2009年、金沢市糸田新町に「パン屋 まなびぃ」をオープン。
現在はカフェ勤務と、毎週木・金曜午後 のパン屋営業を両立させている。

 

 

その2

ひとりにこだわる理由

―    パン屋さんの店舗「まなびぃ」のオープンはいつでしたっけ?

永野・・・2009年の1月です。

―    そうでしたか、私の中では3年めぐらいのイメージでした :-o  開店にはどんな準備が必要でしたか?

永野・・・保健所に営業許可申請書を申請して、菓子製造業の許可をもらうことぐらいでしたよ。

―    それまで、物件探しとか着々と準備を進めていたんですか?

永野・・・いえいえ(笑)。「ちゃんとしたパンのお店を持とう」と決意したのは、一緒に住んでた妹の結婚が大きなきっかけでした。それに間に合わせなくちゃ と、あわてて物件を探し始めたんだけど、最初は全く見つからなかったんです。不動産屋さん何件かあたってみたけど、「絶対無理」って言われてばかりで。

―    どうして?

永野・・・とにかく予算がなかったから。「家賃4万円で」と言ったら、「そんなとこないです!」って、きっぱり言われて。

―    う~ん、その予算だとなかなかないでしょうね(笑)!

永野・・・でもまた不思議なことに、私がパン屋の物件を探してるのを「人づてに聞いた」という人が現れたんですよ。以前、イベントで食のブースを出した時に 知り合った人で、ここでお惣菜屋を営業されてたんです。親戚の家が空き家になったのを改装して、お惣菜屋をオープンしたものの、一人では手いっぱいになってきて「やっぱり無理だ」ということになったらしく、「空き家になるのはもったいないから、使ってみない?」と言ってくれたんです。

―    で、すぐに見に行ったの?

永野・・・すぐ行って、気にいって。「予算はいくら?」って聞かれたから「4万です」と言ったら、「じゃ、4万で」って、交渉が成立しました。

―    言い値で即決(笑)。しかも4万円! 破格やね~。

永野・・・しかもお惣菜屋さんだったから、厨房設備もきれいに整ってたし。

―    その時、どう思いました?

永野・・・いや、ラッキーやなぁと。なんとかなるんもんだと。

―    予算4万円を変えないところがすごいわ、やっぱり。でも、それ以上は絶対出せなかった?

永野・・・そうそう。それがギリギリの線だった…

―    この物件には満足してますか?

永野・・・もちろん大満足です! 改装して1年だったから、厨房もすごくいい状態でした。その上、駐車場もあって、小さな庭もあるし。

「まなびぃ」の店頭。駐車スペースも完備

塀には、こんなカワイイ目印が

―    ここは静かな住宅地ですが、「週2日午後だけのパン屋さん」への、ご近所の反応はどうでしたか?

永野・・・冬にひっそり開店したから「なんかやってるのかなぁ」って、様子見の感じ。春までは近所の人は来なかったです(笑)。今は、ちょこちょことお客さんとして来てくれるようになりました。毎週来店される、おとうさんもおられますよ。

―    へぇー、おとうさんが :-o  近所の人たちはともかく、「まなびぃ」の店構えはとってもさりげないから、さすがのパン好きも「通りがかりに発見!」とはいかないですよね。ほかのお客さんたちは、お店の情報をどうやって知ったんですかねぇ。

永野・・・たぶんネットなんじゃないかな? とにかく自分からは宣伝しないから、わかんないんですよ。

―    来店する人に「どうやって、知ったんですか?」って聞いたりしますか?

永野・・・最初のうちは聞いてました。その時は「ネットで」という人が多かったですね。あとはパンを卸してる店で聞いたとか、友達に教えてもらったとか。地元タウン誌のパン屋特集に載った時は、反響がすごかったなぁ。場所がわかりにくいから、マップ付きでわかりやすかったのかもしれませんね。

住宅街でお店をさがすお客さんを、ほっとさせる店頭の看板

 

―    その時のお客さんで固定客になった人もいますか?

永野・・・うん、います。

―    じゃあ、そんな形の宣伝とか、これから考えてます?

永野・・・(きっぱり)宣伝はないです。取材とかだったら応じますけど、って感じです。

―    あえて広げようとは考えてないんだ。確かに、ひとりで作れる量も限られてるしね。

永野・・・そうですね。宣伝は知り合いの店にショップカードを置いてもらうぐらいかな。それも、あんまり積極的にはやってないけど(笑)。

―    今のペースが気にいってるんだね。

永野・・・うん、こんなもんかなと。

―    現在は、喫茶店で週3回午後に働いて、木曜・金曜の午後に「まなびぃ」の営業というスタイルだけど、「まなびぃ」1本にするというつもりはないんですか?

永野・・・今のところは考えてないですね。体力的な面と、金銭的な面で。毎日焼いたパンが全部売れれば、やっていけるのかもしれないけど。それには設備的な投資が必要になってくるから。

―    設備的な投資というと?

永野・・・ここの厨房にあるのは家庭用の設備なんです。毎日焼く本格的なパン屋さんとなったら、ちゃんとした発酵機とかも必要だし。

2台のオーブン

オーブンとともにフル回転の発酵機

 

―    なるほど。じゃあ、もともとの夢だったカフェ開店は、将来的には考えてる?

永野・・・いずれは…。具体的には全然だけど。一人ではできないしね。パートナーが現れれば、一緒にやりたいな。

―    パートナーとカフェ経営なんて、素敵だよね! まぁ、今のスタイルも楽しそうだし、ペースも合ってる感じがするけど。でも、一見ゆるゆるやっているようで、ほとんど毎日パンを焼いてるし、けっこうハードじゃないですか? ひとりで続けてるのはすごいなぁと思います。

永野・・・やっぱり、パンを楽しみにしてくれてるお客さんがいてくれるから。それに… 時々あるんです「今日のパンはすごい上手に焼けたなぁ!」という時が。そんな日はすごく嬉しい。毎日見てるから、わかるんですよ。「今日はいい出来!」というのが。お客さんにはわかんないと思うけど。

―    ブログにも時たま書いてありますよね「今日のパンは会心の出来!」って。パンを見たらすぐにわかるんですか?

永野・・・わかります。

―    そんなところは、やっぱり職人気質ですねぇ。ほかのパン屋さんを見てもわかります?

永野・・・パン屋さんに入った瞬間にわかりますよ。並んでるパンがイキイキして見えるんです。

―    イキイキ! また抽象的な表現ですねぇ(笑)。でも、その感じ、なんとなくわかる…

永野・・・元気なパンが並んでる店と、ただものが並んでるみたいな店があるんですよね。で、近づいていってバゲットとか真近で見ると、やっぱりなんです :lol:  すっごいクープがキレイに裂けてたりして。

―    元気なパンは遠くから引き寄せる力があるんだ~。パンも一筋縄ではいかないねぇ。自分が作るパンで、出来不出来に差があるパンってあるんですか?

永野・・・食パンですかね。発酵の見極めが難しいです。すごいベストなタイミングだと、ガスに入れた時、生地がぐいーんと伸び上がるんです。ほんの少しの時間差で、ちぢこまったり、伸びたりする。微妙なんですよ。生地は気温が高いとダレてくるから、夏場は特に気を遣いますね。一番作りやすいのは、春から梅雨前、秋かな。

―    自分ひとりでやってると大変だけど、気づくことも多いですよね。一番の楽しさってなんですか?

永野・・・やっぱり好きなように作れることですね。新しいものもどんどん取り入れられるし。

―    これから挑戦しようと思ってるパンって、ありますか?

永野・・・「あんパン」にチャレンジしようかなと。そう思って、オーガニックの餡も取り寄せたんです。ああいう、”おつつみ系”のパンって自分では買わないし、作ることもほとんどなかったんだけど、やっぱり日本を代表するパンだしなぁと思って。

―    あんパン! いよいよ日本のパンに挑戦するんですね。木村屋とか有名ですよね。

永野・・・そう、木村屋※のあんパンね。

銀座 木村屋

創業は明治2年。初代が「日本人に受け入れられるパンを」と考案した「酒種あんぱん」が看板商品に。表面にけし粒の付いた「けし」は、日本のあんぱんの定番スタイルになっています。現在は、このほか「小倉」「桜」「うぐいす」など9種もあるとか!









―    それは楽しみだ~ :lol:  でもさっき、あんパンみたいな”おつつみ系”は買わないって言ってたけど、じゃあ、自分でふだん買うのは、どんなパン?

永野・・・お店のおすすめのハード系、ソフト系両方を。ドライフルーツ系、ミルク系、リュステッィクとかも買います。で「このパン屋さんはこんな感じなんだな」と判断してます。

―    作り手側のお店チェックですね(笑)。お気に入りのパン屋さんはどこですか?

永野・・・「アルムの森」さんの食パンはおいしいですよ~。それと今行ってみたいのが新しくできた「YAMANEKO」さん。

―    「YAMANEKO」さん、パン好きの間では評判です! 私も大好き。ぜひ行ってみてください。
そうやってパン屋さん巡りができるのも、「まなびぃ」が毎日営業じゃない利点ですよね。

 

(つぎに続きます!)