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vol.2 小紺有花さん その4

Oi-pan interview パン好きの「なんでパン?」をうかかがいます。

小紺有花 (ここんゆか) さんのプロフィール
大阪生まれ。大阪、インド、奈良育ち。石川県金沢市在住。2児の母。
2006年より京都の豆屋「楽天堂」の会報誌にて、
料理エッセー「麹遊び」を4年間連載。
そのエッセー連載を期に、麹料理の本格的な研究を始める。
現在は不定期で石川県を中心に、「麹料理教室」や「麹パーティー」などを開催。
麹を再び日本の食卓に呼び戻すため、商品開発なども手がけている。
趣味は剣道。




その4

麹の食文化が基本。楽しみとしての粉食

―    「甘酒」研究については、大きな転機があったんですよね。

小紺・・・そうなんです。甘酒を料理に取り入れるようになってしばらくしてから、京都の豆ショップ「楽天堂」の会報誌で、麹に関する料理エッセーの連載を始めることになりました。
もともと「楽天堂」の会員だったんですが、メーリングリストを通じて、会員同志が健康や食をテーマに情報交換してたんです。ある時、麹が話題になって、甘酒について質問に答えたり、レシピを投稿したりしていたら、「楽天堂」さんから「会報誌のエッセー※をやってみませんか」とのお誘いがあって。
それが、私の本格的な甘酒研究の始まりです。2010年に終了するまで、4年間連載しました。結構大変でしたが、いろいろ調べて知識を吸収できて、すごくいい経験になりました。


※エッセー「麹遊び」は、「楽天堂」さんのサイトのコンテンツ、 
「らくてん通信」のバックナンバーで見られます。



―    確かに、小紺さんの教室で、甘酒、麹、発酵についてのレクチャーをお聞きすると、その内容の濃さに圧倒されますもん! 私は教室に行ってはじめて、ご飯から発酵させて作る甘酒を知ったんですよ。それまでは、酒粕から作る甘酒しか知らなくて。

小紺・・・ええ、そういう方、多いです。私が提唱しているのは、炊いたご飯に米麹を加え、発酵させて作るノンアルコールの甘酒のこと。栄養豊富で、赤ちゃんやお酒が飲めない人も大丈夫な食品です。いわゆる、酒粕に水と砂糖を加えて煮詰める”アルコール分を含む甘酒”とは全く違うものです。

―    小紺さんが使う甘酒は、いつも手作りなんですか?

小紺・・・自宅の炊飯器で手作りしてます。甘酒はスーパーとかでも買えますが、材料から自分で吟味したもののほうが確かだし、なにより安上がりです。米麹は、昔ながらの製法で麹を作り続ける金沢東山の「高木糀商店」さんの麹を使って仕込んでいます。麹によって、甘酒のおいしさは全然違ってきますから。

―    甘酒はいろんな穀物を発酵させて作ることもできるんですよね。

小紺・・・かぼちゃやさつまいも、豆からも作れますよ!

―    すごい! 発酵の世界って面白いですねぇ。そんなふうな、小紺さんと発酵とのかかわりは、何がきっかけではじまったんですか?

小紺・・・発酵とのおつきあいは、やっぱり、パンからですね。パンでは、最初はふつうにイースト使ったんですが、どうもあのイースト臭が好きじゃなくて。だんだん天然酵母で発酵させるようになっていったんです。レーズンやカキなどで、天然酵母を作ったりもしました。

―    最近では、パン作りではどんな酵母を使っているんですか?

小紺・・・もっぱら、甘酒酵母です。

―    甘酒酵母とは、また珍しい 8-O  どんな味のパンになるんですか?

小紺・・・小麦粉との相性がすごくいいので、風味が引き立ちます。粉のうまみが濃くなる。生地はちょっとやわらかめになりますね。酵素が強いのか、あまりハードにならないです。生地をやわらかくする糖分は一切入れてないですが、甘酒の糖分がきいてるのかもしれません。

―    今、麹酵母のパン生地を使って、商品化も企画してるんですよね。

小紺・・・そうなんです。甘酒酵母のパン生地を使って作るのは「甘酒グリッシーニ」。スイーツでは、ほかに酒粕クッキーや甘酒クッキーも商品化します。主力商品としては、これまでの甘酒研究を活かした甘酒、塩麹、ドレッシングを開発中です。

発売予定の「甘酒グリッシーニ」。サクサクとして美味。左は麹酵母のパン

 

 

発売予定の甘酒クッキー

 

―    おー、すごい! 主な販路はどのエリアを考えているんですか?

小紺・・・販路は模索中です。大阪や東京にも広めていきたい。ネット販売もする予定です。今春には本格始動したいと考えているんですよ。

―    そんな大規模な企画を、小紺さんひとりでやっているんですか?

小紺・・・大阪出身の4人でチームを組んでいます。その中の一人は、先ほどお話した金沢の「高木糀商店」さんでの味噌作り体験を通して、麹がいかに健康にいいかを実感した人。「麹のよさを世の中に広めていかなあかん!」と熱く燃えてる男性です。
最近、健康雑誌や女性誌などで、「腸美人」がよく取り上げられるようになってきましたが、腸の働きを整えてくれるのが「発酵食」なんです。いよいよ時代が追いついてきたな~とチームみんなも盛り上がってます。

―    楽しみですねー。おいしい商品、レシピを通して、麹や甘酒のよさをもっとみなさんに知っていただけるといいですね。ここでまた、パンの話に戻りますが :-D 、小紺さんの中では、パンも発酵食のひとつですか?

小紺・・・そう、やっぱり発酵食ですよ。

―    でも、身体にいい食品ではないと思う?

小紺・・・いえいえ、ほんとにいいパンなら、主食として十分成り立つと思います。

―    ほんとにいいパンとは?

小紺・・・天然酵母、無添加、ちゃんとした粉を使ってるもの、です。パンというのは、粉のおいしさを味わうもの、その根本を押さえてるものが「ほんもの」だと思います。そういうパンは少し食べるだけで、すごく満足感がありますから。

―    確かにそうですね。では、小紺さんがパンを食べたくなるのは、どんな時なんですか?

小紺・・・お気に入りのパン屋さんの前を通った時。衝動的に食べたくなります(笑)。後はおいしいワインとチーズがある時かな。

―    やはり根っこに流れる「パン好き」の血はまだ健在とみました(笑)。今、行ってみたいパン屋さんはありますか?

小紺・・・珠洲市の「古川商店」さん。「もろみパン」にすごく興味があります! サイトを見て「すごくおいしそう!」と思って。近いうちに、ぜひ行きたいです。

―    では、パンから思いつく言葉は?

小紺・・・やっぱり「おいしい!」です。小さな頃から親しんできた味の思い出がありますから。

―    お気に入りのパン屋さんを挙げるとしたら。

小紺・・・「たね」「ファンファーレ」「ジョアン」
「アルムの森」ですかねぇ。

―    そこで買うパンも決まってるんですか?

小紺・・・ほぼ決まってます。「たね」ではベーグル、全粒粉パン、カンパーニュ、ドライフルーツのパン。「ファンファーレ」では、カンパーニュ、つのパンなどハード系。「ジョアン」では、やっぱり定番のつのパンですね。「アルムの森」でも、つのパン。ボリュームがあっておいしいんです。ベーグルもいけます。

―    選んでるパンに共通項はありますか?

小紺・・・シンプルにおいしいこと。ちゃんとしたパン作りをしてることですね。
私はやっぱり、基本的に粉食が好きなんです。ハード系パンも、もっちりとしたコシのある食パンも、どっしりとした全粒粉パンも好き。玄米や甘酒料理はカラダをつくる根本食として、パンはそれとは別の「食の楽しみ」として、私の中であり続けるのだと思います。

(小紺さんのインタビューはこれで終わりです。
最後までお読みいただき、ありがとうごさいました。
次回のゲストは、料理研究家の今井喜久子さんの予定です)