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vol.2 永野真弓さん (パン屋まなびぃ 店主) その1

Oi-pan interview パン屋さんの「なんでパン?」をうかかがいます。

●永野真弓(ながのまゆみ)さんのプロフィール
石川県白山市生まれ。金沢工業大学工学部卒業後、
コンピューター会社、JICAなどに勤務。
OLとして働く傍ら、パン教室で学び、
いつしか求められるままにお店や個人にパンを卸すように。
2009年、金沢市糸田新町に「パン屋 まなびぃ」をオープン。
現在はカフェ勤務と、毎週木・金曜午後 のパン屋営業を両立させている。





ふとしたことからパンを習いはじめ、
ひとりでコツコツ作る喜びに目覚めた永野さん。
彼女が焼く“おいしい天然酵母パン”の噂は人づてに伝わり、
待ち望む人の輪が広がっていきました。
「人をもてなしたい」という思いと「パン作り」がリンクして、
ひとつの完成形をなしとげた今。
手ごたえとして見えてきたものは、なんだったのでしょうか?

 

その1

自然にまわりから広がって

インタビューさせていただいた「まなびぃの店内。こじんまりしてるけど、居心地がとてもいいのです

―        まず、いつごろからパンを作るようになったんですか?

永野・・・10年ぐらい前に、パン作りを習いはじめてからです。

―        習いはじめたきかっけは?

永野・・・一時期、あるユースホステルのイベントによく遊びに行ってて…そこのペアレントさんが宿泊者のために毎朝パンを焼いてたんですね。で、遊びにくる人たちに「一緒に焼いてみる」と声をかけて、みんなでやってみたらとってもおもしろかった。「こんなに楽しいなら、ちょっと習ってみようかな」と。

―    どこへ習いに行ったんですか?

永野・・・長町の「ジャパン ホーム ベーキングスクール」です。そこで、初級・中級・上級コースを修了しました。約2年ぐらいかかりましたね。その後も「作らないと忘れてしまうから」と、月1回のお楽しみコースに通ってます。通算すると10年ぐらい習ってるかな。

―    すごいですねぇ  8-O  パンの師範コースみたい!

永野・・・私が終了した初級から上級までのコースは、今は3年ぐらいのコースになってるみたいです。このコースは毎週とか隔週でしたが、お楽しみコースは月1回だから、全然ラクです。でも結局、講師の資格は取らなかったんです。パン作りは好きだけど、教えるのは得意じゃないし。

―    それでも、8年もお楽しみコースに通ってるんだ。

永野・・・よく「なんで今まで通ってるの?」って言われるけど、パンって流行りがあるし、技術もいろいろと進歩していくじゃないですか。作り方も、材料も。固いパンが流行ったり、固いけどちょっとやわらかめが流行ったり、お菓子系が流行ったりとか…そういうのがあるから、毎月今も通ってるんです。

―    習い始めた時は、OLだったんですか?

永野・・・JICA(国際協力機構)に勤めてました。

―    その頃から、パンを食べるのは好きだったんですか?

永野・・・ううん、特に。ごはん党だったし。

―    そんな人、多いんです :-D  じゃあ、なぜパンにそんなに惹かれたんですか?

永野・・・パンって、ただの白い粉がいろいろに変化して、自分の好きな形や味にできる。それが楽しかったんだと思う。それから、普通の料理の世界って、例えばレストランで習うにしても、敷居が高いじゃないですか。でも、パンだったら、気軽に習えて、家でもいろいろ好きに試せる。そこのところが私に合ってたんでしょうね。

―    確かに…料理の世界って、本格的に習うとなると、徒弟制度があるような。

永野・・・すごい厳しい世界っていうイメージがあるでしょ。

―    うん、その世界に入っていくのに「覚悟」がいるような感じがありますよね。でも「調理すること」には以前から興味があったんですか?

永野・・・興味ありましたね。

―    そこにパン作りがぴたりとハマったんだ。ただの白い粉がいろんなものに変化していくのって、確かに楽しいですよね。ところで、大学では理科系を専攻してたんじゃなかったっけ?

永野・・・そう、もろ理科系人間です! 工学部だし。

―    どこかで、パン作りは理系に向いてるというのを聞いたような気がするなぁ。

永野・・・それはどうかわかんないけど、私はたぶん、向いてたんじゃないかと思う。

―    じゃ、材料の計量とか、温度管理とかきっちりするほう?

永野・・・いや、アバウトですよ(笑)。そんなに、きめきめーというほうじゃないです。お菓子を作る時はきっちりやりますけど、パンはそれほど、でもないです…

―    でも、お勤めしながらパンを習う…というところまではよく聞きますが、そこから「パン屋さんを開業しよう」にいたるまでには、どんないきさつがあったんですが?

永野・・・カフェをやりたいというのは、ずーっとぼんやり思ってたんです。そこに途中から「パンって面白いんだ」というのが入ってきた。で、店とパンがリンクした感じです。

―    まず先に、カフェへの思いがあったんだ。

永野・・・20代のはじめに読んだ料理本に「ヨーロッパには、自宅の畑の収穫物を使ったとても素敵がカフェがよくある」と紹介されてて、「こういうのいいなぁ、やりたいなぁ」とぼんやりと思ったのがはじまりですね。「自分の家で採れた野菜とか使って、カフェがやれるんだぁ」と。

―    地産地消とかにも興味があったのかな。

永野・・・そうそう。どこで採れた食材かわかってるお店って、いいですよね。

―    それは、健康への志向から?

永野・・・そういうのは、あんまりないなぁ。

―    人が集まる場を提供したいのかな。

永野・・・うん、それはある! でもたぶん、自分のやれる範囲で何かやりたいんでしょうね。自分の好きなこと、自分が選んだもので、人をもてなしたいんだろうね。

―    あ、人をもてなすのが好きなんだ。それに気づいたのはいつ頃?

永野・・・ええっと、いつ頃かなぁ… 今、朝の5時から半日コツコツ、パンを作ってるんですよね。で、その後、パンの売り子もやる。そのどちらも好きなんですよ。ひとりでコツコツも、人と接することも。でも、スーパーのレジみたいに、わーっとくるのは苦手。ポツンポツンくる、今みたいな感じがいいのね。

―    「ペースを守りながら、好きなことをやりたい」という確かなものがあるんだね。その価値観をわかってくれる人たちに、ふるまいたいし、もてなしたいという。

永野・・・そうですね。だから、パンも押し売りはしないし。営業もしたことがないんです。ふらふら~っとしてたら「永野さんのパン、うちの店でも置きたいなと思ってるんですけど、どう?」と、お客さんのほうから言われて、その広がりで今まで来たから(笑)。

―    「こうしよう!」と目標に向かって進んできたわけじゃなくて、まわりからなんとなく広がってきたんだね。
お店に卸し始めたのは、いつの頃から?

永野・・・上級コースを終了したぐらいに、知り合いの自然食品店から声がかかったんです。商品選びの厳しさでは定評があるお店でしたが、そこからアレルギーの人向けのパンを発注されて。まず「一番小麦アレルギーが出にくいといわれる無農薬の南部小麦と、海の精という塩を使って、天然酵母で焼いてみて」と言われて作ってみました。試作品を持って行ったらすぐOKが出て、それから週1回サイクルで約3年卸してましたね。

―    それが一番はじめのパンの卸しのお仕事ですね。

永野・・・数カ月後には、今まで8年間ずっと続いてる取引先との出合いもありました。健康志向の化粧品や食品の販売店なんですが、私がパンを焼いているというのを、口コミで知ったらしいんですよね。

―    店舗も持っていない若い女性にパンを毎週10数個注文するなんて、8年前だと珍しい話だったんじゃないですか? 個人でパン作りをする人も多くなった今なら、よくあることなのかもしれないけど…

永野・・・発注があった当時は「イーストが身体によくない」という評判が流れてたんです。それで店長さんが「天然酵母で焼いてるパン」をお客さんに提供したいということで、うちのことをどこかで耳にして、声をかけてくれたんです。今も毎週水曜日に卸してます。

―    へぇ、不思議なご縁ですね :roll:

永野・・・その後さらに、今度は野々市のフェアトレードの店「アル」が、お菓子とパンを少しずつ注文してくれるようになって。今では「アル」の1階にある自然食品の店「のっぽくん」に定期納入しているんですよ。

―    「のっぽくん」には、週に何回納入しているんですか?

永野・・・火曜と土曜の2回。ベーグル、シンプルパン、ミルクパンなど各20個ぐらい持っていきます。

―    どれくらい続いてますか?

永野・・・約7年ぐらいかなぁ。

―    そのほかの取引先は?

永野・・・なぜか雑貨屋さんが多いんですが、「紗麻」さん、「フィー・フラックス」さん、「つばきや」さん、「チャカフーク」さんですね。みなさん、口コミやネットなどで知って、向こうから声をかけてくれたんです。そのほか個人のお客さんも時々入ります。

―    向こうから、っていうのがすごいなぁ。


(つぎに続きます!)