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vol.3 大石旭さん(あさひ屋ベーカリー店主) その1

Oi-pan interview パン屋さんの「なんでパン?」をうかかがいます。

●大石旭(おおいしあさひ)さんのプロフィール
兵庫県神戸市生まれ。金沢大学文学部行動科学科中退。
電気工事会社勤務を経て、
金沢市有松の「アリスファームキッチン」でパン作りを学ぶ。
2004
年、白山市鶴来エリアに「あさひ屋ベーカリー」開業。
趣味は山歩き。

 

 

「ものづくり」の仕事に憧れ、当初は大工さんを目指していた大石さん。
それがいつしかパン屋さんへとベクトルが変わったのは、
“酵母”の魅力に引き寄せられて。
自分のお店をオープンさせてからも、
その酵母が不思議な形で、道を切り開く手助けをしてくれます。
自らを「小麦中毒」語るほどの大石さん、
そのパン人生をたどります。


 

その1

あえて鶴来に

―       この地でお店をオープンしたのは「学生時代から白山登山を通じて白山麓になじみがあり、鶴来の町並みも気に入ってたので」ということでしたよね。でも、大石さんが育った神戸って、ここと全然似てないですよね。なのにどうして、この町を好きになったんですか?

冬の鶴来の街並み。お店は画像の右側

 

 

 

 

 

 

富士山、立山とともに、日本三名山ひとつに数えられる白山

大石・・・なんででしょうね(笑)。でも、白山には、室堂の山小屋で学生時代にバイトしたことがあって、すごく愛着があるんですよね。そのころから鶴来にもよく来る機会があって、いい町だなぁと。なんとなく古いものに魅かれるところはあります。なんだか落ち着くんですよね。

―    一般的に、パン屋さんを開業するなら、もっと市街地中心部近くのお客さんが多そうな場所を、と考えるんじゃないかなと思うんですが。この、のどかな鶴来の町で開業の決め手とは?

大石・・・まぁ、パン屋さんがほかにないし…ということで(笑)。本当は、より白山が近い鳥越とか、白山の眺望が楽しめるところがよかったんですけど。商売するなら、このあたりがいいかなと。

―    物件はどうやって見つけたんですか?

大石・・・鶴来の不動産屋さんに相談したら「鶴来の町中には、あまり貸し物件が出ないよ」と言われて。しょうがないから、自分で町を歩いて「これは空き家じゃないかな」という物件を、不動産さんに確かめてもらったりしながら探しました。

―    で、ちょうど鶴来中心部のここが空いてたと。以前も店舗だったんですか?

大石・・・前はね、「ばらずし」でした。

―    空き店舗って、表示があったんですか?

大石・・・いえ、何も。ただ空いてた(笑)。

―    不動産名とかも書いてなくて?

大石・・・そうです。で、不動産屋さんに言って、交渉してもらいました。

―    店舗の具体的なイメージはあったんですか?

大石・・・ええ、古民家とかが頭にあったので、この物件はちょうどいい感じでした。

町家を活かした店頭

 

 

 

 

 

 



―    かなり改装したんですか?

大石・・・資金がなかったので、最小限です。近所でちょうど壊すところだった銭湯から、窓や入口の戸をもらってきたりして、ありあわせて作りました。でも、かえって町家っぽい雰囲気が出てて、結構気にいっているんですよ。

―    この横開きの入口、「おばあちゃんちの玄関」みたいでいいですよね。窓も光がいっぱい入って、中を広く感じさせます。天井の梁も前のままなんですか?

大石・・・そうです。梁は前の店のを、そのまま活かしてます。民家の趣を残したくて。
そうそう、去年、長野県上田の「ルヴァン」※に行ってきたんですけど、すごくいい雰囲気でした。素朴な古民家のまんまで。
「こんなふうにしたいなぁ」と思いましたね。

ルヴァン信州上田店

天然酵母パンの先駆けといわれる東京・富ケ谷「ルヴァン」の店主、甲田幹夫さんが、出身地に出店。旧街道の古民家を改装した店内は、パン屋としては画期的スタイル。

 

―    わぁ~いいなぁ。東京にある山小屋風「ルヴァン」とは、また全然違った感じですね。きっと、このお店の雰囲気とどこか通ずる部分があるんでしょうね。

大石・・・でも、こうして店を構えてみて、鶴来っていいところだなぁとしみじみ思います。造り酒屋に糀屋さん、お菓子屋さんが通りにあって、なんだか懐かしい。水もおいしいし。お客さんも地元の方のほかに白山神社詣や、秋は白山スーパー林道のドライブ、冬は白山麓のスキー場帰りの人たちも立ち寄ってくれますしね。

霊峰白山をご神体とする全国2000の白山神社の総本宮、白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)は、お店のすぐ近くです

 

 

 

 

 

 




―    あ、なるほど、そういったルートのお客さんも多いところなんですね。
それは“先見の明あり”だったかも。

 

(つぎに続きます!)