sitemap

vol.4 塩井増秧さん その2

Oi-pan interview パン好きの「なんでパン?」をうかがいます。

●塩井増秧 (しおいますお) さんのプロフィール
大分県出身。金沢市在住。
1989年に渡欧し、日本語教師・翻訳をしながら、アイルランドに3年半在住。
1998年、金沢市新竪町に「アンティーク フェルメール」開業。
毎年春秋には、アンティークの買い付けのため、
イギリスに約3週間ずつ滞在している。
2005年、金沢市のリトルプレス「そらあるき」を仲間とともに創刊。
編集長を務める。

 

その2

イギリスのおいしいパンって?

―    塩井さんは年に2回、イギリスに買い付けに行ってますよね。
滞在中は、どんなパンを食べてるんですか?

フェルメールの店内。18~19世紀のグラスやら、万華鏡やらが並ぶ独特の世界。
塩井さんからは、品物がたどってきたであろう歴史のお話も、うかがえます

木の壁びっしりとかけられた金具は、いったい何に使っていたものでしょう?


塩井・・・
イギリスではいつもライブレッドを食べてます。スーパーにもよく売ってる、薄くスライスしてあるやつ。ロンドンから田舎に行く時は、それでいつも弁当作って持ってくの。
焦げ茶のライブレッドに、ブルーチーズとスモークトハムをたっぷりはさんで、ミネラルたっぷりの岩塩とブラックペッパーをふって、半分に切ってラップして持ってく。
で、昼、小腹が空いてきたら、電車の中や行った先で食べる。うまいっすよ。

―    おいしそ~。調味料とかにもこだわってるんですか?

塩井・・・いつも常宿のキッチンにあるやつを使わせてもらってる。
大家がシェフだから、それなりにいいものだと思う。

ロンドン南部、パットニィの常宿のダイニング

―    いつもどれくらい滞在するんですか?

塩井・・・3週間ぐらい。いる間、買うパンもいつも決まってるよ。
「ウェイトローズ」
っていうスーパーで、いわゆる高級スーパーなんだけどね。
そこでチーズとかも買ってる。

―   イギリスでお気に入りだったパンは、どんな?

塩井・・・これまでで一番おいしかったのは、ブリーチーズとクランベリーのサンドイッチ。これは、最高にうまかった!ブリーチーズって、カマンベールのもっとクセのない味。それと、ややドライのクランベリーを、穀物が少し入った淡いブラウンブレッドのパンにはさんであるの。

―    うーん、おいしい酸味のグラデーションですね~。そういえば、欧米ではサンドイッチは、具やパンの種類をオーダーできる店があるんですよね。

塩井・・・それなりのお値段のお店だとね。例えば「ハーヴィーニコルズ」というデパートにあったサンドイッチカウンターでは、いろんな具材といろんなパンを「あれ」「これ」とオーダーして食べることができた。すっごいうまいよ。まぁ、あそこはお金持ちが行くところだからね。あんなのふだん食ってるイギリス人なんて、ほとんどいないけど。

―    ははは。

塩井・・・僕も昔はもの珍しさで行ったけど、今はもう行かない。めんどくさいし。

―    高級感いっぱいだけど、確かにめんどくさいかも :mrgreen: そこまではいかないけど、今の日本も、いろんな世界のパンが食べられる環境にあるじゃないですか。イギリスとかも、こんな感じですか?

塩井・・・いや、もっとふつうだよ。 端的な例でいえば、今のイギリスで、日本人が思ってるような「ティーポットで紅茶を入れて…」なんて飲んでるイギリス人はほとんどいない。
僕のまわりで見たことないもん。

―    ということは、イギリス人もティーパック紅茶?

塩井・・・ティーパックがほとんどです。処理が楽だから。みんなそうですよ。

―    日本人は、英国人はみんなティーポットで飲んでると思ってますよ!

塩井・・・いても、ほんとにアッパーな、召使いが未だにいるような人じゃないかなぁ。
ちょっとぐらいの金持ちなら、みんなティーパック。
とはいえ、最近はコーヒー派が増えてるけどね。特に都会、ロンドンとかでは。

―    紅茶文化発祥の地でも、そうなんだ :roll:

塩井・・・紅茶でさえ、こうなんだから、パンなんて、もっと適当ですよ。ただイギリスとかだと、パンやケーキはお店よりも、ホームメイドのほうが絶対うまいです。

―    一般の日本人がふらっとイギリス行って、ホームメイドのケーキやパンって食べられます?

塩井・・・それは難しいね。仲良くなんないと、なかなか食べさせてくんない。アイルランドにいた頃、ガールフレンドの知り合いの音楽評論家が焼いてくれたライブレッドは、ほんとにおいしかったね。固いパンを薄く2ミリぐらいに切って、バターやハチミツ、ホームメイドジャムをつけて、庭で食ったんだよ。

―    庭で、というのがまたいいですよね。

塩井・・・そう、彫刻やバラに囲まれて…そんなふうに食べるパンが一番うまいね。そういえば、僕がイギリスで常宿にしてる宿の女主人って、もともとプロのシェフなんだよね。エドワード王がいた高級会員制クラブにも入ってるような人で、そこにケータリングもしてるんだけど。たまにパーティとかがあると、僕たちにも料理やケーキを食べさせてくれるの。それが、すっごくうまい!!イギリス料理は一般的にまずいっていわれてるけど、彼女のを食べたら、そうは言えなくなるね。

―    いいなぁ。

塩井・・・結局のところ、イギリスのミドル~アッパークラスの人たちはおいしいもの食べてるけど、庶民は日本人が思ってるような凝ったパンとか紅茶とかは味わってないよ。

―    イギリスって、やっぱりそんなに階級制度がはっきりしてるんだ。

塩井・・・そりゃそうです。暮らしたことない人には想像もつかないほど、はっきりしてます。
しゃべる言葉も、食べるものも、食べ方も違う。

―    「なんでもあり」の日本人の食文化とは全く違う世界ですね。

 

(つぎに続きます!)