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vol.4 塩井増秧さん その4

Oi-pan interview パン好きの「なんでパン?」をうかがいます。

●塩井増秧 (しおいますお) さんのプロフィール
大分県出身。金沢市在住。
1989年に渡欧し、日本語教師・翻訳をしながら、アイルランドに3年半在住。
1998年、金沢市新竪町に「アンティーク フェルメール」開業。
毎年春秋には、アンティークの買い付けのため、
イギリスに約3週間ずつ滞在している。
2005年、金沢市のリトルプレス「そらあるき」を仲間とともに創刊。
編集長を務める。

 

 

その4

「普通に真面目に」がいい

―    ところで、塩井さんはパンが食べたくなる時はどんな時?

塩井・・・おいしい紅茶がある時。ウバやヌワラエリアのストレートと食べたくなる。僕、紅茶は好きで、東京のおいしい店から取り寄せたりもしてるんだよね。パンはバケットでもライブレッドでもいいな。

―    塩井さんは結構ブラウンブレッドがお好きですよね。

塩井・・・いや、おいしければどんなパンでもいいですよ。極端なこと言えば、○○○○○の胚芽マフィンでもいい。オーブンで温めて、チーズはさんで食べてます。安いパンは安いパンで、それなりに楽しめる。

―    あのCMのパンね。確かにおいしそう。

塩井・・・周辺のパン屋さんについて思うのは、基本の食事パン・惣菜パン・スイーツ系の3通りのパン、すべてがおいしいパン屋さんって、なかなかないよね。

―    3通りおいしいって、それは、かなり厳しいハードルですね。

塩井・・・僕の中で、その3つがある一定のクオリティ以上で、及第点が出せるお店って、少ないなぁ。

―    でも塩井さんには、お気に入りのお店、ありますよね、確か…

塩井・・・僕、金沢・玉鉾の「ネイティブ&ネイチャーズ マーケットプレイスベーカリー」が好きなのね。バケットも、惣菜パンも、あんぱんやクリームパンに至るまでおいしい。

「ネイティブ&ネイチャーズ マーケットプレイスベーカリー」店内
3通りのパンすべてがおいしい!と、塩井さん

 

 

 

 

 

 


―    うん、おいしいですよね!私も大好きです :-D

塩井・・・値段もほどよいしね。時々、厨房を見るんだけど、真面目そうな女の子が一生懸命に焼いてるのが、またいい。全然、かっこつけてない。「ほんとにおいしいパンを作りたい」と思って一生懸命に焼いてる気持ちが、店やパンから伝わってくる。「これぞ庶民」って感じがする。でも、それだけじゃなくて。

―    それだけじゃなく?

塩井・・・僕、結構、パンでもスイーツでもデコレーションが気になるほうなんですよ。洗練されてないなら、いっそ素朴なほうがいいぐらい。あのお店のパンのビジュアルも好みなんですよね。


―    どっさりたっぷり具が入ったサンドイッチとか、大きなスコーンとか、ニューヨークっぽい感じがします。

塩井・・・「ちゃんと考えて作ってるなぁ」とも思う。金沢だと、パン屋さんじゃないけど、僕が好きなスイーツ店「ピュイダムール」さんも同じ匂いがする。センスのいい職人さんで、一貫したスタンスを持ってて、作るケーキや焼き菓子は一級品だけど、でもかっこつけてない。あと、マスカルポーネのロールケーキで有名な「ウィークディ」さんとかもいいね。

「ピュイダムール」さんは、「ウイークデイ」さんとともに、
「そらあるき」11号の「コツコツ、街のケーキ屋さん」で
紹介されています
:lol:

 

長年のファンが多いピュイさんのタルト。これはいちごのタルト


―    まさに質実剛健って感じのお店ですよね。ぶれてなくて、職人気質が伝わってくるようなお店が好きなんですね。

塩井・・・そうだね。でもね、そういったお店はさておき、日本の西洋輸入文化って、ある種の”ねじれ”をはらんでるところがあるんだよね。

―    また、すごく根本的なところを突いてきましたね(笑)。じゃ、パン屋さんを例にとると、その“ねじれ”って具体的にどんなところ?

塩井・・・今なんか、アーティストみたいにやってるパン屋さん、あるじゃないですか? あれって、なんか変だと思うなぁ。パンって、豆腐みたいに日常的に食うもんでしょ。そんな「ほぼ毎日食べるもんをおいしいく作る」って、本来地味でコツコツ築きあげることだと思うし。

―    塩井さんの言う“ねじれ”って、「欧米のものはありがたい、かっこいい」という風潮?

塩井・・・本家本元にないようなものまで追い求めてる。それに気づかずにやっちゃってる人がいるなと思う。輸入文化って、いびつな面を抱えてるから。それが、ちょっとしたところに垣間見えたりすることがあるんだよね。
パンだと、どんな素材を入れてるか、過剰に入れ過ぎてないか、過剰包装になってないかとかに。本質とは関係ない部分にこだわりすぎて、値段がむやみに高くなってたりするような。1本何千円もするパンとかね。過剰だとかえって恥ずかしい。

―    極端な方向に行きすぎてる人もいるかもしれませんね。

塩井・・・パンがブームになってるところもある。ブームになりすぎると変な方向に行ってしまうことが多いからね、日本は。僕は「もっと普通がいいな」と思ってる。


―    西洋コンプレックスもあるのかな?

塩井・・・それもあるだろうね。パンでも、妙にお洒落になりすぎると、本来の姿とはかけ離れていくような気がする。作る人もそうだけど、買う人だって、西洋輸入文化を妙にありがたがって、お洒落や高級志向に持っていこうとする人たちって、どうかなぁと思う。まぁ、いろんな人がいて、いいんだけどね。別にかっこつけたって、なんか悪い事してるわけじゃないし。

―    でも、ありがたがる気持ち、とってもよくわかります :oops: 私も西洋文化大好きだし、憧れが意識下に刷り込まれちゃってるし。

塩井・・・本当のところは僕だって、アンティーク界のことしか、よくわかんないんだよね。でも、洋モノ扱ってる日本人が本場に行くと、いかにセコイか、を何度も見てるからね。視野が狭くて…。「もっと引いて全体をみればいいのに」って思いますね。

―    それって、日本人の深い意識のところまで行く話ですよね。

塩井・・・日本人って、パンとかはまだしも、紅茶、ワインとか…西洋から取り入れたものに対して、ねじれてますよね。そのなかに変な人が多いから、なおさら「普通に真面目にやってる職人さんたちっていいな」と思う。





(塩井さんのインタビューはこれで終わりです。
最後までお読みいただき、ありがとうごさいました。
次回のゲストは、ブログ「しあわせ家族でいるために・・・」の管理人、
棚田美穂さんの予定です)