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vol.4 小畑孝志さん その2

Oi-pan interview パン屋さんの「なんでパン?」をうかかがいます。

●小畑孝志 (おばたたかし) さんのプロフィール
石川県鳳珠郡穴水町生まれ。
名古屋「株式会社デンソー」勤務を経て、金沢市にUターン。
金沢市しじま台のベーカリー「モンパルノン」で15年間勤務。
2001
年に独立、金沢市直江町に「アルムの森」開業。
趣味はパン作り、お酒を飲むこと。


 

その2

大変なのに楽しい!

―    外麦(輸入小麦)では、どこの粉が使いやすいんですか?

小畑・・・カナダとか、オーストラリア。

―    フランスは?

小畑・・・フランスの粉は難しいよ。国産小麦よりたんぱく質少ないしね。でも、うまく作ればすごく風味あるものに仕上がる。フランスの粉には、灰分(かいぶん)が多めで少し黒みがかってるのがよくある。
この灰分※が風味のもとになるんやね。
石川県ではあんまり使ってるとこないんじゃない? 難しい上に、むちゃくちゃ高いし。

灰分(かいぶん)

ミネラルのこと。小麦の外側に多く含まれる。生成してない粉は風味は多い。
小麦粉は、
日本ではグルテン量によって強力粉・準強力粉・中力粉・薄力粉に分類されるが、フランスでは、灰分量で分類されている。


―    そうですね。あんまり聞かないですね。しかも値段も高いんだ。

小畑・・・般的には、日清製粉の白くてきれいなカメリヤとか、膨らみやすいスーパーキングとかが使いやすい。実際、パン屋でもよく使われてると思うよ。

―    ふーん。粉の世界は幅広いなぁ :roll:
アルムさんでは国産小麦を10種類ほど使ってるんですよね。どんな銘柄を使ってるんですか?

小畑・・・ハルユタカ、ユキチカラ、春よ恋、キタノカオリとか、いろいろ。

 

厨房の粉袋

 

―    それをパンによって使い分けてるんですか?

小畑・・・ハルユタカやキタノカオリは食パンに、ウーヴリエ、タイプERはフランスパンやハード系に。それから、金沢大地さんの食パンは、石川県産の有機栽培強力粉ハルユタカ100%で焼いてる。

―    金沢大地さんの有機小麦粉で作る食パンは、塩も石川県産でしたよね。

「金沢大地」の石川県産有機小麦で焼いている「大地の息吹」食パン


小畑・・・
能登の塩を使ってるよ。どうせこだわるなら、全部石川県産にしないと、やるかいがないしね。

―    確か、このパンの粉は、東北の有機JAS認定の製粉工場で挽いたものだとか。

小畑・・・一般の製粉工場で挽くと、有機栽培じゃない小麦と混ざってしまうから、わざわざ東北まで輸送して挽いてもらってる。だから価格もその分高くなる。

―    なんて贅沢な! 安全・安心、しかも地産地消にこだわったオーガニック食パンですね。

小畑・・・こだわるなら、徹底しないと面白くないしね。

―    そうやって、国産小麦と向き合ってきて、一番大変だったのはどんなところですか?

小畑・・・一番難しいのは、温度管理やね。粉の温度、室温、水温すべての。

―    やっぱり温度管理なんですね。それを機械で調節してるんですか?

小畑・・・機械? いや、人間がやっとるんやって!

―    どうやって?

小畑・・・寒かったら湯を使ったり、生地の温度が低かったら、ホイロ(発酵機)に入れたり、発酵時間を長めにしたりして調節する。寒い時はまだいいけど、暑い時の温度管理がまた大変。発酵が進み過ぎないように、氷を使ったりもするよ。
そうやって、毎日、同じ温度の生地になるよう管理しないと、なかなか一定した品質のパンは作れんしね。

―    ほんとに生きもの扱いですね。

小畑・・・れを意識して作らんと、必ずまずいパンになるから。

―    大変そう…そんななかにも面白味ってあるんですか?

小畑・・・もちろん! 楽しいよ、好きやもん!パン作るの。
好きじゃなかったら、何十年もこんなきついパン屋なんかできん。俺がパン作りやるようになってから、もう30年やよ。

―    30年か~。どこがそんなに楽しいんですかね、パン作り。生地が変化していく様子とか?

小畑・・・そういうのも全部含めて楽しい。でも、食べるのはあんまり好きじゃない(笑)。だから、ほかのパン屋には、あんまり行かんわ。

―    そんなに作るの好きなのにね(笑)。

小畑・・・作るのは、こねて、焼き上がるまでの、すべての工程が楽しいね。

―    毎日、温度管理とかにふりまわわれてるのに…。あ、でも、もう完璧にマスターしてるから、大丈夫なんですよね。

小畑・・・いや~今でも苦労してる(笑)。
完璧になんて、できんできん。30年やってても難しい。
だから、半年とか1年の修業で、パン屋として独立する人、すごいなと思う。
よっぽど勉強して、努力しとるんやろね。

―    人それぞれ、目指す到達点が違いますからね。小畑さんの目標とするところは、きっとレベルが高いんだと思いますよ。

 

(つぎに続きます!)