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vol.4 小畑孝志さん その3

Oi-pan interview パン屋さんの「なんでパン?」をうかかがいます。

●小畑孝志 (おばたたかし) さんのプロフィール
石川県鳳珠郡穴水町生まれ。
名古屋「株式会社デンソー」勤務を経て、金沢市にUターン。
金沢市しじま台のベーカリー「モンパルノン」で15年間勤務。
2001
年に独立、金沢市直江町に「アルムの森」開業。
趣味はパン作り、お酒を飲むこと。

 

 

その3

よきパートナーと一緒に

―    ここでちょっと、小畑さんのこれまでのパン人生を聞かせてください。

小畑・・・パンや洋菓子との関わりは、最初に勤めた名古屋の自動車関係の会社の頃から。実は、会社に内緒でレストランでバイトしてて。そこでパンや菓子作りも教えてもらった。それが楽しくて! 
じゃ、この道に進もうかなと。
で、石川県に戻ってきて、金沢の「ドリアン」という洋菓子店で3年半ぐらい働いた。

―    洋菓子店で働き始めたのは、20才ぐらいですかね。

小畑・・・20才すぎやね。すぐにでもパン屋で働きたかったんやけど、相談したパン屋さんと粉屋さんに「まずは洋菓子を勉強してこい」と言われてね。「いきなりパンから入ると、雑な仕事をするようになるから」と。

―    へぇ~。そういうものなんですね。

小畑・・・ほんというと、和菓子 → 洋菓子 → パンと修業したかった。

―    どうして?

小畑・・・和菓子の繊細な仕事も学びたかったから。

―    でも、最終的にはパンに行きたかったんですね。それは、パンが好きだったから?

小畑・・・やっぱり好きやったね。

―    菓子修業の後に、金沢市しじま台の「モンパルノン」さんで、パン作りを本格的にスタートしたんでしたよね。

小畑・・・あそこで、実質15年ぐらい働いたかな。

―    どんなパンを作ってたんですか?

小畑・・・オールマイティなパン屋さんやから、食パン、惣菜パン、菓子パンと、なんでもひととおり作ってたよ。俺が働いてた頃はまだパン屋があんまりなかったせいもあってか、むっちゃ忙しかった。食パンが人気で、よく売れたね~。
そのうち周辺に新しいパン屋もどんどん出来てきて、競争時代に入っていったんや。

―    じゃ、金沢のパンの発展期を見てきたんですね?

小畑・・・弱冠、見てきたかな(笑)。1軒新しい店ができると、2軒なくなったりして…厳しいもんやよ。
パンの傾向もだんだん変わってきたし。

―    どうなってきました?

小畑・・・クリームパンやあんパンとかの菓子パン大流行の頃から見ると、
欧米伝統のハード系も入ってきたからね。

―    でも、まだハード系が充実してるパン屋さんは少ないような…

小畑・・・確かに都市部からみたら、まだ昔ながらのソフトなパンが多い傾向はあるね。
だから「もっといろんなパンがあるよ」って、お客さんたちに教えていかないと、と思う。

―    モンパルノンさんからの独立は、いつ頃から考えてたんですか?

小畑・・・10年めぐらいやね。機会をうかがってた時に、パン屋をやってた知人が店舗を手放すと聞いてね。その店を改良して始めたんです。

―    最初は、長年作ってたレシピを中心にした品揃えだったんですか?

小畑・・・それにプラス、本や雑誌とかで勉強して作ったり。当時はまだハード系は全然やってなかった。ごく一般的なパンばっかり焼いてたね。

―    お店はすぐに軌道に乗ったんですか?

小畑・・・いや、お客さん全然こんかった~。「こんなのが続くようなら、やめようかな」と思ったもん。

―    開店からどれくらいそんな状態だったんですか?

小畑・・・2年めぐらいまでかな、大変やったのは。でも、がんばって、3年めぐらいから持ち直したよ。病院や幼稚園のパンの卸しも手掛けて、必死にやってここまで来た。あの頃は”やりたいパン”なんて考える余裕もなかったなぁ。

―    今も卸しは続けてるんですか?

小畑・・・やってるけど、これ以上は増やさないようにしてる。店売りのパンにもっと時間を割きたいと思ってね。”自分の作りたいパン”を作っていきたいから。

―    今みたいなハード系が充実した商品構成に、いつ頃から変化していったんですか?

店内に並ぶハード系パン

 

小畑・・・5年前に南くんが入ってからやね。それまでにも、やりたかったんやけど、なかなかできなくて…。彼が入ってから、一緒に勉強しながら作れるようになっていった。国産小麦に変えたのも、その頃から。チョコレートもフランス産のヴァローナ使ったり、ほかの材料もいいものに変えていった。
最初は「経費かかるし、大変やな~」と思ったけど、結果的には思い切ってやってよかった。
やっぱり信頼できるパートナーができたことが大きかったね。
ひとりで店を切り盛りしながら、新しいことにも挑戦するのは大変やったから。

―    5年前が「アルムの森」の大きな転換期だったと。そこから、これまでにやりたかったことをどんどん打ち出してきたんですね。

小畑・・・そうやね。酵母や粉もいろいろ試して、2人で実験みたいにしてやってきた。

信頼するスタッフの南さんと

 

―    酵母はイースト、天然酵母を使い分けてるんですよね。

小畑・・・天然酵母はレーズンのものと、ライ麦から作るルヴァンリキッド。
ルヴァンリキッドは専用の発酵・保管機械も持ってるよ。

―    へぇ~。専用機械があるんだ 8-O

これがルヴァンリキッド発酵機

 

小畑・・・高い機械やし、誰も買わんみたいやけどね(笑)。

 

(つぎに続きます!)