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vol.4 小畑孝志さん その4

Oi-pan interview パン屋さんの「なんでパン?」をうかかがいます。

●小畑孝志 (おばたたかし) さんのプロフィール
石川県鳳珠郡穴水町生まれ。
名古屋「株式会社デンソー」勤務を経て、金沢市にUターン。
金沢市しじま台のベーカリー「モンパルノン」で15年間勤務。
2001
年に独立、金沢市直江町に「アルムの森」開業。
趣味はパン作り、お酒を飲むこと。

 

 

その4

保守的な地元の人には…

―    アルムさんではフランスをはじめ、ドイツ、イタリアのパンと、いろんな種類のパンを発信してるわ~、と感心してるんですけど。どうやって勉強してるんですか?

小畑・・・本とか、講習会とかで。
「今この業界はどんな流れになっとるんかな」と知っておかないとね。
ほかのパン屋もがんばっとるし、次々と新しいパン屋もできてくるし。

―    その中でもアルムさんは、先進的なことされてるなぁと思います。

小畑・・・珍しいパンを作って、店にただ並べるだけじゃなくて、食べ方も教えていきたいしね。

―    そうそう、都市部のパン屋さんに行くと、名前がフランス語、ドイツ語そのままで、ポップでの説明もなくて、どんなパンだかわかんないこともありますね。

小畑・・・地方で同じことやってたらダメやよね。お客さんに説明しないと、わかってもらえんよ。

―    そうですよね。数年前リュスティック、ベーグルとか出てきたときには「何これ?」と思いましたけど、今はすっかり浸透しましたよね。説明したり、ポップをつけたりと、お店の努力の賜物でしょうね。
最近、タルティーヌやクロックムッシュをちらちら目にするようになりましたが、
お客さんの中には、まだどんなパンだか、わかんない人も多いのでは?


手前から
タルティーヌ(スライスしたパンのオープンサンド)
クロックマダム
(
クロックムッシュはカンパーニュのチーズハムサンド。
そのバリエーションで、上に目玉焼きをのせてあるのがマダム)

 

 



小畑・・・
だからなるべく説明して、紹介していくようにしてる。地元のお客さんは、自分から「これ何?どうやって食べるの?」なんて聞かんからね。
石川県人は保守的だから、こっちから積極的に言っていかないと。
最初はライ麦パン並べても、頭から「これ、固いやろ」って敬遠されてたし。

―    ふーん。

小畑・・・「固くないんやって。菓子パンよりやわらかいんやよ!」と、味見してもらったりもする。

―    ちなみに、小畑さんオススメの「ハード系パンの食べ方」とは?

小畑・・・バケットなら、1日めはそのまま。2日めはトーストで。3日めはフレンチトーストで食べるといいよ。その日に買ったパンを、その日に無理に食べなくていい。そう思うとあんまり多く買えんでしょ。

―    確かに「その日のうちに食べなきゃ!」という思いこみがありますね。
食べれきれないと冷凍しちゃうし。

小畑・・・買った日に食べられなくても、翌日ガーリックバターを塗って食べてもいいんやって。
そんなふうにパンの食べ方を提案したいと始めたのが、この自家製フィキシング

最近、受けた講習会で刺激を受けてね。
講師だった千葉「ツォップ」※のオーナー伊原さんが、店でいろいろと展開してると知って、
「それ、いいな」と。
うちもレストランに相談したりして作ってみたんや。

ツォップ
1
日300種、6000個のパンが、焼き上がりまもなく売れて行くという千葉・松戸の超人気店。併設ベーカリーカフェのボリュームたっぷりの朝食も評判。

―    どんな種類があるんですか?

小畑・・・ガーリックバター、はちみつバター、クリームチーズはベーコン&くるみ、クランベリーとか。ほかにも、自家製じゃないけど、おススメのハチミツやフランスのジャムも揃えてる。こうしたフィキシングをつけると、酸味の強いライ麦パンなんかは、ほんとにおいしく食べられる。
パンだけ食べて「なんかモソモソしておいしくない」と敬遠してる人に、ぜひ試してみてほしいね。

―    「おいしいパンのお供」も提案し始めたんですね :-D

小畑・・・そう、こんな変わったパンを作ってたら、それも一緒に置かないと。
フィキシングをつけると断然おいしくなるからね。

―    こういうパン文化は、今ひとつまだ浸透してないかも…

小畑・・・パンには、まだまだいろんな食べ方があるんだから、もっと楽しまないとね。

―    小畑さんがこれからやってみたいことってありますか?

小畑・・・ほんとは、もっと小さなパン屋をやりたいね。「シェ・オバタ」という名前で、石窯で好きなパンを焼いて。今みたいな大きな厨房や店舗じゃなくて、小さなお店でコツコツ焼きたいね。

―    実現しそう?

小畑・・・死ぬまでにはやりたい。

―    小畑さんの”焼きたいパン”って?

小畑・・・もう少しずつやり始めてるんやけど「ライ麦パン」※に挑戦したいきたいね。
フォルコンブロート、ロッゲンブロート、ロッゲンミッシュブロートとか、難しいけど面白そう。パン職人は、そう思ってる人多いと思うよ。日本人にはまだなじみがないだけに、やりがいがある。
そんなふうにパンの可能性を追求していきたい。

 

フォルコンブロート

 

ライ麦パン
ライ麦粉をサワー種で発酵させて作るパン。
ドイツ語でロッゲンはライ麦
フォルコンは全粒粉のこと。


フォルコンブロートはライ麦全粒粉90%使用のパン。
ロッゲンブロートはライ麦90%以上のパン。
ロッゲンミッシュブロートはライ麦50~89%以上のパン。

いずれもミネラルや植物繊維が豊富。


―    小畑さんはやっぱり勉強家だ~

小畑・・・勉強してないと続けていけんもん。
南くんと一緒に仕事してみて、若い感性を知ることも大事やってわかったね。ほんとに刺激になった。
「もの作りには、いろんなものを吸収して取り入れていく姿勢が大事なんや」って。
俺にとっては、しゃばじゅうのパン屋が先生やね。

※しゃばじゅう=北陸地方の方言で「そこらじゅう」の意味 ;-)

 


(小畑さんのインタビューはこれで終わりです。
最後までお読みいただき、ありがとうごさいました。
次回のゲストは「Boulangerie YAMANEKO」店主、岡崎さんの予定です)