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vol.6 吉田勝人さん (ヨシタベーカリー店主) その1

Oi-pan interview パン屋さんの「なんでパン?」をうかかがいます。

●吉田勝人(よしたまさと)さんのプロフィール
1974
年、小松市生まれ。石川工業高等専門学校建築学科卒業。
大阪の建築会社、金沢の店舗設計会社で設計に携わる。
26
才の時、小松大和の「ドンク」で働き、パンの魅力に目覚める。
加賀市のかぼちゃ村のベーカリー「ア・ポワン」勤務後、独立。
小松市北浅井に「ヨシタベーカリー」を開業。
2008
年に、小松市矢崎町に移転、現店舗をオープン。
趣味は、パン作りと日曜大工。

 

「生き方を映してるなぁ」
ヨシタベーカリーは、まさにそんなお店です。
雰囲気もパンも一体となって、
ある主張を発信しています。

飾り気なく、

素朴で、
どっしりとして、

味わい深い。

その渾然一体の秘密は、
今回のインタビューですっきりと解けました。
”自分を信じて進んできた”
吉田さんの道を一緒にたどってみましょう。

 

その1

30才で起業する

―    吉田さんがパンが好きになったきっかけって、何かあるんですか?

吉田・・・きっかけは特に思い出せないんですけど、もの心ついた時から、ふつうにパンが好きでしたね。ごはんよりも好きでした。ごはんだと茶碗一杯がやっとだったんですけど、パンなら何個でも食べられるというような子どもでした。ごくふつうの菓子パンですけどね。

―    パンとの出合いというような特別のものもなく?

吉田・・・そうです。どこのパンを食べていたかも覚えてないですね。近所のストアのパンだったと思います。パン屋さんにも高校生ぐらいになるまで、入ったこともなかったような…

―    調理パンも食べていたんですか?

吉田・・・子どもの頃は調理パンなんて、あまり食べたことなかったですね。

―    パン屋さんになったのは「パンが好きだから」という理由なんですか?

吉田・・・いや、それがそういうわけではないんです(笑)。もともと僕は学生の頃から建築科を専攻して、ずっと建築をやっていたんです。石川高専を卒業してから大阪の建築会社に就職して、その後また石川県に戻ってきて、金沢の店舗設計会社で働いていました。でも、その時から「何か違うなぁ」という思いがあったんです。

―    「何か」がわからなかった?

吉田・・・そうですね。石川高専を卒業する頃も、やりたいことがさっぱりよくわからなくて。大阪へ出てみたいなという動機で、最初の就職は決めたんです。建築は別に嫌いではなかったんですが「何かもっとほかに自分がやりたいことがあるんじゃないかな」と常に感じていました。
そんなモヤモヤしたものを抱えて働きながら、ある時気づいたんです。
「自分は最初から最後まで自分でやりたいんだ」
って。
大きい建物の仕事となると、どうしても一部分あるいは全体しか見ることができない。
もっとぐぐっと深く入り込んで最初から最後まで自分が見られることをやりたいと。

 

 

 

 

 

 

 


―    次の会社は県内の店舗設計の会社でしたよね。

吉田・・・ええ。「店舗という規模であれば、それができるかな」と選んだんです。それが、入社した時には「設計施工すべてを一人で一括して取り組める」ということだったんですが…いざやってみるとそういうわけにはいかなかった。すると「やはり違う」となってきたんですね。もともと”ものづくり”が好きだったということもあって、「もっと絞ったところでやるなら、自分でやらないとやりたいことはできないな」と。

―    自分でやるということは、つまり”起業する”ということ?

吉田・・・そうですね。でないと本当にやりたいことはできないなと思いました。それは大阪で働いていた時からすでに感じていたことなんですけどね。具体的に何をやるのか、自分が何をやりたいのかは、まだわかっていなかった。でも、「30才で起業できたら」というのは、漠然と思ってました。そうしてるうちに店舗設計の会社を辞めることになって、じゃ次に何をしようか、ということになったんです。

―    何か選択肢はあったんですか?

吉田・・・なぜか、家具職人とパン屋さんが頭に残ってました。それで、ある時タイミングよく、小松大和の「ドンク」さんでアルバイトを募集してまして。「パンの世界がどんなものなのか、体験してみよう!」と入ってみることになって。
それ以来、どっぷりパンの世界に浸かり込んでしまったんです。

―    やりたいことが、やっと見つかったんですね! どんなところに面白味があったんですか?

吉田・・・店の規模が小さかったせいもあって、バイトなのにいろんな工程を経験させてもらえました。
「やればやるほど難しくて、やればやるほど面白い世界だな」と思いましたね。

―    次に、加賀市片山津のかぼちゃ村「ア・ポワン」さんに行かれるわけですが、それはどんないきさつで?

吉田・・・その時、すでに27才でしたし「バイトではなくどこかの社員に」と思い始めるようになっていました。ありがたいことに「金沢のドンクで社員として働かないか」と誘っていただいたんですが、金沢店は規模も大きいし「30才で起業を目指すには遠回りになる」と思ったんです。

―    すでに、パン屋で起業することは決めてたんですね。

吉田・・・ええ。それまでに、ほかのパン屋さんでも修業してみたかったんです。ちょうど加賀市のベーカリー「ア・ポワン」さんで正社員の求人がありまして、入社することになりました。
それが半年後、入社した時に僕の上にいたチーフ2人が辞めて、実質僕がチーフという形になってしまって…

―    でも、ある意味、すごくいい流れですよね。

吉田・・・その時もすごくいい経験をさせてもらいました。完全にお店をまかされて、自分で回していくという。開業前の経験としては最高ですよね。

―    パンの種類とか、ディスプレイとかすべて、吉田さんにまかされたんですね。

吉田・・・せっかくまかせてもらえるなら、ガラッと変えようと。ハード系のパンを増やしたりと、パンはほとんど変えました。

―    今から8年前ぐらいですよね。私、その頃よく「ア・ポワン」さんに行ってました。ガラッと変わった時、覚えていますよ。内装も可愛くて、パンの種類も多くて。加賀ではとっても目立つお店でしたよね。そこで2年働いて、独立へと。

吉田・・・ええ。お店をまかされるようになってしばらくしてからオーナーに、「30才には自分の店の開業を考えてるんで、すみませんが1年後には独立させてください」とお願いしました。そのころから、物件も探し出してましたね。

(つぎに続きます!)