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vol.7 寺田 匡さん その2

Oi-pan interview パン好きの「なんでパン?」をうかがいます。

寺田 匡(てらだ ただす)さんのプロフィール
富山県小矢部市出身・金沢市在住。
専修大学法学部法律学科卒業後、
商社、コーヒー会社勤務を経て、金沢製粉株式会社に入社。
2002年、代表取締役社長に就任、現在に至る。
趣味はパン・スイーツ作り、映画鑑賞

 

 

その2

有名パンに、この粉ありき

―    高級食パン用の「ローランド」も金沢製粉さんの主力商品とお聞きしてますが。

寺田・・・長い歴史のある看板商品です。おいしくパンを作りやすく加工した粉です。パン屋さん以外にレストランなどでもよく使われていますよ。
東京では二子玉川の「ベッカライ徳多朗」さんや「成城パン」さんで、最高級食パンに使っていただいてます。

―    そんな名だたるパン屋さんでも使われているんですね :-D  それは食べてみたいです。ローランドを使うと、どんな食パンに仕上がるんですか?

寺田・・・しっかりボリュームが出て非常に噛みごたえがあり、味もいい、といったパンですね。焼き色もいいです。年間のパンの消費量が日本一多いという京都でも、よくローランドが使われていますよ。

―    パン通が多いという京都でも! それは評価の証ですね。

それから、金沢製粉さんの看板粉というと、
忘れてはいけない「ずのう粉」
これもロングセラーですよね。

寺田・・・1960年(昭和35)に発売された特殊なパン用粉です。この粉が出来たいきさつ、面白いんですよ。

―    ふんふん :-)

寺田・・・戦後に「パンと白米ではどちらが頭の働きをよくするのか?」という主食論争がありましてね。
慶應大学教授の大脳生理学者が「ヌカを除いた白米にはほとんど栄養がない。対して小麦は、胚乳部分に頭の働きに必要なビタミンB1を含んでいるから、栄養面で優れている。だから主食にはパンのほうがよい」という学説を発表したんです。

―    ほぉ~ :roll: そんな学説があったんですね。

寺田・・・その学説に基づき、全国の製粉業者10社で「頭脳パン連盟」を結成。
小麦粉のビタミンB1を多く取り入れて食べやすく作った粉「すのう粉」を開発しました。
その粉を使い、売り出したのが「頭脳パン」です。

―   あの頭脳パン誕生には、そんなストーリーがあったんですね。
粉にビタミンB1をたくさん入れるために、どんな工夫をされたんですか?

寺田・・・ビタミンB1は皮の部分に多いので、たくさん入れると色も悪くなり、出来上がったパンの見た目も悪くなってしまいます。そうならないよう、ギリギリのラインで調節してあります。
近年では厚生労働省の表示基準を満たすため、ビタミンB1も添加していますので、一定量以上のビタミンB1は必ず入っていますよ。

―    近頃ブームの健康食品のはしりですね。

寺田・・・ところが、開発当初は全国10社でスタートしたのに、現在も続けているのは我が社だけ。結果「ずのう粉」が当社の看板商品になっているというわけです。

―    大手メーカさんも、ずのう粉を使われてますよね。

寺田・・・ええ、「フジパン」さんや「伊藤製パン」さんで使っていただいてます。「伊藤製パン」さんとのおつきあいは、1991年(平成3)に東京のローカル局で紹介されたことがきっかけです。

―    「伊藤製パン」さんは関東のメーカーですよね。どんなご縁で?

寺田・・・それがまた不思議なご縁で。
ある時、東京のローカル局の番組で、東京大学の学生に「受験勉強中、何を食べてましたか?」とインタビューしたところ、その中の長野出身の学生が「僕は“頭脳パン”食べてました」と答えたんです。
当時長野には、金沢製粉のずのう粉を使って“頭脳パン”を作っていた「ナカジマパン」という会社がありましてね。「頭脳パンって、いったいなんだ?」とテレビ局が当社まで取材に来たんです。
その番組を見られた埼玉県の伊藤製パンさんから「ぜひ、うちでもやりたい」という申し出をいただきまして。まもなく発売されたパンは大ブレークしました。

―    1991年、第1次頭脳パンブームですね!

寺田・・・そのブームが定着して落ち着いた頃、今度は2006年(平成18)に中日新聞で「東大生協で最も売れている”頭脳パン”とは?」という内容で紹介されたんです。それが名古屋の「フジパン」さんの役員さんの目に留まり、「フジパン」さんでも販売されることになりました。
それまでは関東エリアのみの知名度だった頭脳パンが、全国で販売されるようになり、一気に有名になりました。

―    私たちが地元スーパーでよく目にするのは、「フジパン」さんの頭脳パンなんでしょうか?

寺田・・・昔からあるレーズン入りの頭脳パンは、地元のメーカーさんのものです。それ以外に11~1月の受験シーズンに限定販売されるいろんなタイプの頭脳パンが、「フジパン」さんの商品です。

―    いろんなパンがあるんですか?

寺田・・・ええ、コッペスタイルで、ピーナッツクリーム、ジャム、小倉、卵などをサンドしたいろんな種類がありますよ。

―    へぇ~。それは食べてみたいですね。

寺田・・・毎年人気キャラクターとコラボ企画して、工夫して売られています。

―    地元では何社からも売り出されているんですよね。

寺田・・・ええ、県内では、かほく市の「サンキョウパン」さん、金沢市の「パンブラザーズ・アベ」さんや「タカマツパン」さん、白山市の「ナカシマパン」さんなど。みなさん通年販売されてるようですね。


 

 

 

 


画像は「ナカシマパン」さん製造の「頭脳パン」。

干しブドウ入りのシンプルなパンは最も原型に近いそう。
直径20センチほどの大きさは、
学生のおやつにぴったりのボリューム

 



―    私の周辺でも「受験期によく食べてた」「思い出のパンのひとつ」という話、よく聞きますよ。
みなさんにとって、子どもの頃から食べてた印象深いパンのひとつだと思います。
これだけ多くの方の思い出に残るパンってあまりないですよね。

寺田・・・そういうお話を耳にすると、ほんとにうれしいです。

―    こうして看板小麦粉のお話をいろいろと伺ってきたんですが、その性能もさることながら、名前もユニークですよね。

寺田・・・波動小麦粉のひとつ「サンダーバード」は、北米インディアンの神話に出てくる名前。不思議な力を持つ巨鳥のことです。はばたきは強風を起こし、口からは稲光を発すると信じられていたそうです。
そんな力を持つ鳥の名前をいただいて、不思議な波動の力を表現してみたのが名前の由来です。

―    そんな深い意味があるんですね。もうひとつの波動小麦粉「シーザ―」は?

寺田・・・これはご存じの通り、ローマ帝国の皇帝です。
あと「ローランド」と「オリバー」は、中世ヨーロッパのフランク王国の十二勇士の名前からとったものです。十二勇士の筆頭がローランド、その同格がオリバーです。

―    名前は社長さんが付けられたんですか?

寺田・・・ローランド、オリバーは昔からあった名前です。僕が付けたのだと「アレキサンダー」「キングアーサー」というのもあります。

―    随分、勇ましい名前が多いですね :-o

寺田・・・名は体を表すというか、粉の力を表現してるんです。

 

(つぎに続きます!)