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vol.7 寺田 匡さん その4

Oi-pan interview パン好きの「なんでパン?」をうかがいます。

寺田 匡(てらだ ただす)さんのプロフィール
富山県小矢部市出身・金沢市在住。
専修大学法学部法律学科卒業後、
商社、コーヒー会社勤務を経て、金沢製粉株式会社に入社。
2002年、代表取締役社長に就任、現在に至る。
趣味はパン・スイーツ作り、映画鑑賞

 

 

その4

小麦粉が値上がりする理由

―    ところで最近、小麦粉の世界的な高値が話題になっていますね。度重なる値上げでパンの価格も上がって、「パンは安くて気軽なものでなくなってしまうの?」という心配があるんですが :-|

寺田・・・小麦については、日本では国家貿易いう制度が維持されていまして、政府が輸入した小麦を製粉会社が買うというしくみになっているんです。
国際相場が上昇すると、政府の買い付け価格も上がるので、政府から製粉会社への売り出し価格も上がるわけです。公定価格だから仕方がないですよね。
それにともなって、パンなどの加工製品の価格も上がってしまうんです。

―    小麦の価格上昇の理由はなんですか :-?

寺田・・・「小麦の生産量に比べて世界的に消費量が増えている」というのはよくいわれていることですよね。でも、ほかにもいろいろと原因はあります。
そのひとつを説明すると…今とうもろこしと小麦の価格がほぼ同じなんです。
昔はとうもろこしが安価だったんですが、ここ数年上昇してます。
とうもろこしは飼料(家畜のエサ)によく使われていましたので、とうもろこしの価格が上がると、今度は小麦が飼料に使われるようになります。
人間の食料だけでなく飼料も含めた需要の中で小麦価格が決定されるという事情もあるんです。

―    いろんな事情が複雑にからみあっているんですね。

寺田・・・さらに小麦の商業栽培では、遺伝子組み換えをしてはいけないことになっているので、生産量の飛躍的な増大も難しい。
常に価格の問題をはらんでいるのが小麦という作物なんです。


―    その影響なのでしょうね、近頃お気に入りのパン屋さんのパンが小さくなってきて、寂しい思いをしているんですが :cry:

寺田・・・パン屋さんも値上げするとイメージが悪くなるから、ダウンサイズで自己防衛してらっしゃるんでしょう。

―    小麦が高くなっていることと同時に、米あまりという状況もあるのか、最近「米粉パン」もよく目にします。米粉パンは確かにおいしいんですが、小麦好きの私としては、小麦のパンとは別の食べ物という気がします。

寺田・・・米粉パンは、米粉に小麦から取ったグルテンを加えて作るのが一般的です。私としては、このまま米粉パンが一人歩きしてほしくないなという思いがありますね。
というのは、パンのおいしさには小麦の芳香成分が大きく関係していますので、米粉にグルテンを加えてもそれと同様のおいしさにはならないんですよ。

―    パン党の私としては、米粉パンはお米が好きな人が食べるお餅やおはぎみたいな加工品の一種なんだろうな、と思ってます。

寺田・・・私は「食文化の乱れにつながってしまうとのでは」とやや不安を抱いています。
やはり焼きたての小麦が香るのがパン本来のおいしさであって、「このパン、餅のような食感と米の香りがいいなぁ」というのは不自然ですよね。発泡酒がビールより飲まれるようになってしまったように、本来のものと大きくかけ離れてしまってはおかしいと思います。日本人は研究熱心すぎて、本来のものを見失ってしまう傾向がある。私はそれを危惧しているんです。

―    米とパン、どちらもそれぞれのよさがありますので、バランスよく共存しながら、国内自給していければいいのですが…。
ところで、石川県はパン重要の多い県なんでしょうか?

寺田・・・石川県は標準的だと思いますが、金沢市のパンの消費は全国の都市の中で、確かトップ10ぐらいに入っています。小麦の価格は上がっていても、新しいパン屋さんはどんどん増えてますしね。

―    金沢は”昔ながらの和菓子処”なのに面白い現象ですよね。

寺田・・・京都と同様、和菓子処なのにパンが売れるという、不思議な地域です。

―    そのあたりの不思議が解明できると面白いんですけどね ;-)

 

(つぎに続きます!)