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vol.7 寺田 匡さん(金沢製粉株式会社代表取締役社長)その1

Oi-pan interview パン好きの「なんでパン?」をうかがいます。

寺田 匡(てらだ ただす)さんのプロフィール
富山県小矢部市出身・金沢市在住。
専修大学法学部法律学科卒業後、
商社、コーヒー会社勤務を経て、金沢製粉株式会社に入社。
2002年、代表取締役社長に就任、現在に至る。
趣味はパン・スイーツ作り、映画鑑賞

 

 

金沢製粉株式会社さんは、石川県で唯一の製粉会社。
あの有名な「頭脳パン」の原料、ずのう粉を作る
日本でただひとつの会社でもあります。
寺田社長さんは小麦通であるばかりか、
パンを自分で作ってしまうほどのパン好き!
取材当日は、研究室や工場を丁寧に案内していただき、
なんと、手作りパンやスイーツも披露してくださいました!
柔和な社長さんが語る
小麦の奥深さ、日本の小麦事情に、感心するやら驚くやら。
このインタビューを読めば、
パンの先にいろんなものが見えてきますよ。

 

その1

「波動小麦粉」の威力

―    御社は創業80年とお聞きしていますが。

寺田・・・1932年(昭和7)の創業です。
私の祖父にあたる寺田健次郎が金沢市の七ツ屋町で個人経営で始めました。

―    もともとは砂糖屋さんだったとか。

寺田・・・健次郎は金沢市北部、富山県境にあった河合谷村(現在の河北郡津幡町)の出身で、当時、砂糖や小麦の大問屋だった関商店さんに奉公しておりました。その後、製粉業を志して独立いたしました。
関商店さんからは「お前がやるなら」とずいぶん応援していただいたそうです。

―    健次郎さんおひとりで起業されたんですか?

寺田・・・そいあいである祖母が工場の機械を管理し、健次郎が外へ粉を売り歩いたと聞いています。

―    奥さんが工場管理を! すごいですね 8-O 。二人三脚で始められたんですね。

寺田・・・そうだったようです。
そして少しずつ会社組織にしていき、1948年(昭和23)に現在の西金沢の地に社屋を構えました。

金沢市米泉町の本社社屋

―    一時は東京工場もあったとか?

寺田・・・ええ、今の江東区深川扇橋にありました。健次郎は、富山県小矢部市出身のニューオータニの創業者の方と村相撲の選手として交流がありましてね、大谷家の鉄鋼会社があった土地を譲り受けて、工場を建設したということです。

―    そんなご縁があったんですね。

寺田・・・この東京工場は、昭和29年に健次郎が49歳で亡くなった時に、東京製粉株式会社として分離独立しました。

―    じゃあ、今は別会社になっているんですね。

寺田・・・ええ、全く別の会社として運営しています。現在、当社の工場は金沢のみです。

社屋に隣接する巨大な製粉場。ここへ金沢港から県営の穀物サイロに保管されていた小麦がダンプで運ばれてくる

 

 

 

 

 

 

 

(上)製粉した小麦粉を大量輸送する場合は、工場天井から直接タンクローリに落として、そのまま運ばれる


―    でも、それが逆にすごいなと。
失礼ながら、小麦の大消費地ではない金沢で、製粉会社を営んでおられるということが、です。
北陸三県にはほかに製粉所はあるんですか?

寺田・・・富山県には1社ありますが、福井県にはありません。

―    大都市圏から離れた地で、小麦生産地でもない金沢での製粉業は、やはりとてもニッチな存在という気がするのですが。

寺田・・・いや、かつてはそうではなかったんですよ。古くから日本には麺の食文化が浸透してましたので、以前は各地に製粉会社があったんです。その土地でとれた小麦を加工して、そのエリアで消費していた時代には全国に300社ぐらいはありました。それが、近年どんどん効率化が進み、現在は96社になっています。

工場では、巨大な製粉機でふるいながら、きめこまやかな小麦に製粉していく

 

 

 

 

 

 

 

―    昔は地方ごとに製粉会社があったんですね。現在、製粉会社はどのエリアに多いんですか?

寺田・・・やはり需要地である関東、関西、中京です。

―    金沢製粉さんの商圏は、北陸3県なんですか?

寺田・・・業以来、北陸3県のメーカーさんとは強い関係を築いています。さらに、平成9年からは名古屋のほうにも進出しました。現在は関東や関西にも取引があります。

―    ここ金沢で、関東や関西、中京とも取引があるなんて、素晴らしいですね。
やはり金沢製粉さん独自の粉が強みとなっているんでしょうね。

寺田・・・
当社の独自の製品としては、「波動小麦粉」があります。平成8年に発売して以来、多くのみなさんに性能を認めていただいるパン用粉です。中京エリア進出の突破口となった粉でもあります。

―    「波動小麦粉」は特別な性能を持った粉だとお聞きしてますが、どんなふうに製造してるんですか?

寺田・・・例えば、最近スーパーなどでよく見かける会員制サービスの水。ああいった水はセラミクスや石、電気、磁石などを使って、おいしくしているものが多い。目には見えない遠赤外線や磁力線、電気などのエネルギー場を媒介として、味を良くしているんです。
同様に当社の製粉工場にもエネルギーを発するバーを設置し、そこに接触させながら通過させて作った粉の総称が、波動小麦粉です。

―    御社で独自に開発されたんですね。


寺田・・・
製粉機械やセラミックメーカーさんのご提案もあり、開発に踏み切りました。

―    出来上がった粉には変化が見えないですよね。
味や性能は、食品に加工してみて判断されたんですか?

寺田・・・加工作業を繰り返し試して「ああ、やはり今までの粉と違う」ということになりました。使ってみると、その効果は明らかにわかりましたから。開発当初から自信を持っていましたので、「よし、これを名古屋に売りに行こう!」ということになりましてね。名古屋では1軒1軒回る地道な営業からスタートしました。

―    名古屋に新たな粉の需要は見込めたんですか?

寺田・・・名古屋は喫茶店文化が盛んなので、喫茶店向けの食パン専門のメーカーが多いんです。営業で回るなか、とあるメーカーさんとの出会いがありました。
そのメーカさんは「焼き上がりから2日たってもやわらかいパンが求められる。今の粉ではどうしても固くなってしまう」と悩んでおられた。
それで、当社の波動粉「サンダーバード」を使い、当社の技術者も呼び寄せて焼いてみたところ、従来のものと比べてやわらかいパンを仕上げることができたんです。

―    2日がたっても、やわらかかったんですね。

寺田・・・ええ。それで早速クレームの多かった喫茶店で出してみると、これまでのようなクレームが全く来なくなった。結果、そのメーカーさんは全ての粉を波動粉に変えてくださったんです。

―    波動小麦粉の威力がわかるエピソードですね :lol: 波動粉の優れた点は具体的にどんな?

寺田・・・仕込みの段階ではしっかり吸水し、熟成効果が高いこと。
焼く段階では空気を抱く力が強く、熟成による香気成分が出て香りがよくなります。
空気を抱き、水を含んだパンは焼き上がり後、時間がたってもやわらかさを保持してくれるんです。

―    以前、パン屋さんに「水分を粉にたっぷり吸わせると、やわらかさが長持ちする」とお聞きしたことがあります。パン屋さん側では工程段階でそうした工夫をされるわけですが、粉自体がそういう特徴を持っていると、とても助かりますよね。

寺田・・・もちろん技術でカバーされているパン屋さんもおられるんですが、「当社の粉はさらにお手伝いできますよ」ということなんですね。「技術は突きつめたけど”あともう少し”の部分を、小麦粉の性能に頼ってみようか」という方々に支持されているようです。おかけさまで、この粉の付加価値を認めてくれる何件ものパン屋さんと出会い、息の長いお付き合いになっています。

※「波動小麦粉」2種のうち、サンダーバードは食パン、シーザーは小型パン・ロールパンなどに適する。
業務用の需要がメインだが、個人でも購入可能。関東と関西ではイオンで販売している。
その他の地域で購入希望の方は直接、同社に問い合わせを。

■金沢製粉株式会社 TEL076-241-3141

 

(つぎに続きます!)