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vol.8 浦辺千寿さん (「ネテ製穀」店主)その1

Oi-pan interview パン屋さんの「なんでパン?」をうかかがいます。

浦辺千寿さんのプロフィール
1985
年、石川県七尾市に生まれる。
県立羽咋高校卒業後、和倉温泉の旅館「加賀屋」に入社し、
接待さんとして働く。
その後、レディスカジュアル会社「ハニーズ」に勤務。
2009
年に実家に戻り、家業の農業に従事する。
2011
年にパン・焼き菓子の工房「ネテ製穀」を開業。
七尾市の雑貨店「歩らり」や県内外のイベントで販売している。
パンとマフィンはネット販売も実施中↓
www.shoku-no-nekko.co

農家でパン屋。
こんな画期的な営みに、20代の女性が取り組んでいます。

能登に浦辺さんを訪ねると、
「大自然に囲まれた実家の畑と工房で、のんびりほっこりと農業…」なんて、
私の思い込みは吹き飛びました。

その情熱とチャレンジ精神たるや、まさに開拓者レベル!
野生のもの、原種
が好きという彼女は、
農”と”食”の原点に立ち帰って、本来の暮らしの豊かさを見つめ直そうとしています。

※品種改良されていない野生の品種のこと


その1

ごく自然と農家に

―    まず、神秘のベールに包まれた浦辺さんのこれまでをお聞きしたいと思います。

浦辺・・・え、ごくふつうだと思うんですけど…(笑)。
22才で帰省して、農家を継ぎました。今年で4年めです。

―    それまでは?

浦辺・・・高校卒業後、和倉温泉の「加賀屋」さんに就職して、接待さんをやってました。私、着物が大好きだったんで、着物を着たくて。

―    あの”日本一のおもてなし”で有名なお宿ですね。
それで、あの~志望動機は着物だったんですか :roll:

浦辺・・・はい。毎日、着物で働けるのがいいなと。それまでは着られなかったんですが、就職してから着られるようになりました。でも膝を悪くして、1年ぐらいで辞めなきゃいけなくなってしまって。

―    仕事は楽しかったですか、大変でしたか?

浦辺・・・キツイ面もありましたが、今思うと18~19才は子どもから大人へと変わる時期、精神的に一番成長できる時に鍛えてもらえたなといろんな生活環境の方が働いておられましたし、お客さんにもいろんな価値観がいらして、ものすごく社会勉強になりました。貴重な経験をさせてもらえたなと思います。もっと人生経験を積んで人の心がわかるようになる年齢になった頃、もう一度やってみると面白いだろうし、いいおもてなしができるだろうと思いますね。

―    その次に服飾関係の仕事を選んだのは?

浦辺・・・「着物を着て働く」の次の夢が「服屋さん」だったので。どうせなら「やりたいことをやりつくそう!」と思ったんです。ちょうど七尾にその会社の店舗がオープンして、自分が思うような流行の服も扱ってたので、即入社しました。

―    そのお店では何年ぐらい働いたんですか?

浦辺・・・3年半ぐらいです。北陸3県の店舗を回る転勤生活を続けてました。販売だけでなくお店作りも担当してたんですが、ちょっと流行とかに疲れてしまって。ふと我に返った時、常に何かに追われるような仕事は、なんだか自分には合わないなと思ったんです。

 

 

 

 

 



―    それから、実家に戻ったんですね。

浦辺・・・実家のことは以前から気になっていたんです。二人姉妹で、姉はすでに嫁いでいたので。「やっぱり、私が家に戻るのがベストやよね」と、二人で合うとよく話してて。二人ともすごいお父さん子なんですよ。ファザコンか!って言われるぐらい(笑)

―    ご実家は専業農家なんですか?

浦辺・・・父は兼業で米作り、母と祖母は専業で花を出荷していました。小さな頃から忙しい時には駆り出されて手伝っていましたよ。

―    家に戻った時は、”農家を継ぐ”と決めてたんですか?

浦辺・・・最初は、継ぐことは考えてなかったです。リラクゼーションの仕事をしようかと勉強していたんですが、ちょうど春先だったので、農家仕事が忙しくて手伝う機会が多かったんですね。その時、初めて農作業にがっつりと向き合ったんです。父も何かきっかけを与えようと思ったのか、今までは絶対させてくれなかった田植え機の操作も教えてくれました。そこから農作業がすごく楽しくなってきて、自然といろんな作物のことを調べるようになって、いつのまにか専業農家になってました。

―    その時が22歳。それから4年間農業を続けてきたんですよね。

浦辺・・・今は父の米作りを手伝いつつ、自分の領域作りも始めています。

―    自分の畑を持つようになったのは、いつごろからですか?

浦辺・・・ここ2年ぐらいです。最初は野菜をやろうと思っていたんですが、能登島に「高農園」さんという、すごく成功されてる野菜農家さんがおられて。「野菜は高さんのやり方がベストだから、近場で私が同じようなことをやらんでもいっか」と思っちゃったんですね。
※ご夫婦で脱サラして能登島に移り住み、野菜の有機栽培に取り組む意欲的な農家さん。全圃場有機認証を取得。石川県のエコ農家・有機JAS認定

―    高農園さんは、小規模多品種栽培で成功してらっしゃる有名な農家さんですよね。お友達なんですか?

浦辺・・・ええ、父とも親しくて、農業や流通のことなどいろいろと教えていただいてます。

―    流通も…すごいなぁ 8-O  最初にお会いした時のおしとやかなイメージから、ずいぶんと印象が変わってきました。あの時の着物姿の浦辺さんから勝手に連想して、ガーデニングのような美しい畑で優雅に農作業されてるのかなと思ってたんです。でもお話伺ってると、自分独自の農産物を模索したり、流通を学んだりと、「ガッツリ農で生きていく」と覚悟を決めているように感じます。

浦辺・・・
ええ、もうそれは決めてます。「自分は自分の道を切り開いていきたい」と思ってます。

(つぎに続きます!)