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vol.9 内籐直樹さん その2

 Oi-pan interview パン屋さんの「なんでパン?」をうかかがいます。


●内直樹さんのプロフィール
19
61年、広島県出身。
カワイ楽器の調律師として金沢に赴任。
パン屋でのアルバイトをきっかけにパン職人になることを決意。
「ドンク」での修業を経て、
’92年に「アリスファームキッチン」を開業。
趣味はピアノ演奏。


その2

酵母の力がパンを変える

―    内籐さんは「アリスファームキッチン」オープンにあたって、どんなお店にしようと考えてたんですか?









92
年、金沢市の有松にオープンした
「アリスファームキッチン」

内籐・・・”家庭で使うような材料で、家庭では作れないようなおいしいパンを提供するお店”にしたいと思ってました。「ホームメイドっぽいけど、家ではなかなか作れないな」と思っていただけるような商品を出していこうと。

―    なるほど~ :-o  「同じ材料で作るのにどうしてこんなに違うの?」という感動を感じてほしいというわけですね。この店名のいわれは?

内籐・・・当初「ファームキッチン」を入れることは決まってたんです。お客さんの台所替わりみたいに使ってほしかったし、キッチンのような親しみやすさを感じてほしかったので。後から上につけた「アリス」は、イギリスの文化が大好きだから、代表的な童話「不思議の国のアリス」からいただきました。

―    お店が開店した時は、本当に童話に出て来るような雰囲気で「ちょっと今までにはないパン屋さんができたな」と思いました。ヨーロッパの街のパン屋さんみたい :lol:と

内籐・・・イギリスの一般家庭のような温かい感じにしたくて、壁もプリント柄にしたり、木をあちこちに使ったりしました。

 

 ―    その創業当時から今も変わらず大事にしていることってありますか?

内籐・・・「シンプルな素材でおいしいパンを作り続ける」という初心を忘れないこと。パンを作っていて飽きないのは、醍醐味がそこにあるからです。
同じ材料を使っても、酵母の力で味は大きく違ってくる。
発酵の力ってすごいですよ。食文化が発達してるフランスを例にあげても、代表的な食品のパン、チーズ、ワインは、どれも発酵食品です。

―    日本にも発酵食品はたくさんありますよね。

内籐・・・そう、和食でも醤油、味噌、みりんなど発酵調味料が発達してますよね。発酵がなかったら、世界の食品はとっても味気ないものになっちゃうと思います。
パンも、水、塩だけだと固くて味の奥行きもおいしさもないけど、酵母の力を取り入れると、膨らんでさらに味の深みも出せる。小麦、ライ麦、レーズンなどいろんな酵母種で工夫できるところも面白いよね。

―    酵母の力を引き出すには、どんな工夫が必要なんですか?

内籐・・・長年やってると経験でいろいろわかってきますよ。例えば、酵母の中の菌の量。作ったばかりの酵母は菌が少ないですが、小麦粉と水、酸素を加えると元気になって増え出す。そうすると二酸化炭素を放出して膨らむ。さらにエサを与えるとまた菌が増える。
パンの風味はこの菌の数で違ってきます。

―    菌の数が少ないとパンの風味はどうなるんですか?

内籐・・・菌の数が少ないとパンがまずくなる、という単純なことではなくて、少ない場合は発酵時間を長くすればいい。その製法で作ると、意外と日本人好みのパンができます。あまり酸味がなく、もちもちした食感の。菌が多いと、あまりもちもちしないほうがいいパン、カンパーニュ系などにむいています。
でも、小麦の甘みを出したい時は低温で発酵させたほうがいいですね。

―    そういえば、この間アリスさんで買ったライ麦入りのバゲット、甘くてびっくりしました 8-O  
あのパンも低温発酵させてるんですね。

内籐・・・そうなんです。小麦の甘みを出したいパンは、低温でゆっくり発酵するといい。そういうのが少しずつわかってきたかな。”もっちりさせたいときは菌は少なめ”みたいな。

(つぎに続きます!)