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vol.10  山本香織さん その2

 Oi-pan interview パン屋さんの「なんでパン?」をうかかがいます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA●山本香織さんのプロフィール
’84
年生まれ、石川県寺井町出身。県内の調理師学校を卒業後、印刷会社に1年余り勤務。金沢 市の「ラ・フィセル」(現在の「パン屋たね」)での約3年半のパン職人修業を経て、神戸へ。デリカテッセンの「メツゲライ クスダ」に2年間勤務したのち、パンを焼きたいという気持ちがおさえがたく帰郷。2011年、オープンまもない長町の「ひらみぱん」のベーカリー担当とし て働くことに。2012年10月10日に独立。念願の「パン屋 こくう」を玄米雑穀のお店「てんてん」内に開業。
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ブログ> http://cokuu.exblog.jp/

その2
神戸のデリで働く

―    「たね」さんを辞めて、突然神戸に行ったのはどうして?

山本・・・「たね」での3年目ぐらいから「このままじゃ自分は一人立ちできない。もっと勉強しなきゃなぁ」と思い始めてました。

―    自立をリアルに考えると、足りないものが見えてきたのかな?

山本・・・あの頃はどうしていいか見えなくなってしまってて。後先も考えずに辞めてしまったんです。他のパン屋さんでの修業を考えてみたものの、「他店はもっと朝が早いだろうし、体力的に続くだろうか」と、いろいろと不安になってきて。辞めてはじめて「たね」さんがいかに居心地がよかったかに気づきました。でも、そのまま何もせずにいるわけにはいかないし…「そうだ!自分は美味しいもの全般が好きだし、パンじゃなくてもレストランとかの調理で働いてみてもいいかも」と、友達が住んでた神戸にポーンと行ってしまったんです。

―    うわっ、度胸あるわ~ 8-O

山本・・・自分でもよくできたなと思います(笑)。神戸では友達のところにしばらく泊めさせてもらって勤め先を探そうと、いろいろと出かけてました。すると、近くに「メツゲライ クスダ」という有名なデリカテッセンがあったんです。何回も通って食べてみて、「ここで働けたらいいな」と思ってたら、ちょうど「ヨーロッパのお惣菜に興味ある人募集中」という貼り紙が出てたんです。
「あ、もうここに行くしかない!」と思いました。すぐにお店に電話して面接を受けたら、合格をいただいて働けることになりました。

―    ラッキーですね。すごい強運ここには何年いて、どんなことを勉強しましたか?

山本・・・2年間ぐらい働きました。その間に、チキンを焼いたり、ソーセージの下処理をしたり、キッシュやサンドイッチを作ったり、鶏の毛を抜いたりとかの下処理もしてました。

―    へぇ~鶏の毛! 怖くなかったですか?

山本・・・いえ、初めてのことばかりで楽しかったです。気持ち悪いとかそういうのはなくて逆に、「あ、こうやって命をいただいてるんだな」と、生きもののありがたさを実感しましたね。お店では「本当に食べられないところ以外、捨てちゃダメ」と言われてました。

―    いいお店ですね~。ここはヨーロッパの伝統を踏襲したデリカテッセンでしたよね。

山本・・・そうです。シェフはフランスやドイツなどで修業した方でした。

―    従業員は何人?

山本・・・6人がローテーションで働いてて、常勤4人体制でした。

―    勤務形態はどんな?

山本・・・週1回お休みがもらえて、勤務時間は8~19時でしたね。

―    結構キツイと思うけど

山本・・・でも一般的な会社員と似たような時間だから、それほど苦じゃなかったです。

―    「このお店だからこそ学べた」というようなことがあれば教えてください。

山本・・・ソーセージの組み合わせや、サンドイッチに使うソースですかな。ソースはシンプルでも美味しいレシピを知りました。後はチーズの種類についても、まあまあ詳しくなれたと思います。

―    惣菜パン作りにはすっごく役立ちそうですね

山本・・・本当に。それと、入ってみてわかったんですが、お店のお客さんに関西の美味しいパン屋さんがたくさんおられたんです。そのひとりが三宮「コムシノワ」のシェフだった西川さん(現「サ・マーシュ」店主)。当時の西川さんのお店に1日体験に行かせていただきました。それから、芦屋の「ベッカライ・ビオブロート」のシェフともよくお話しましたし、西宮の「ムッシュアッシュ」(現「コンセントマーケット」)のシェフもよく来店されてました。

―    それはすごいなぁ そのパン屋さんたちみんなが「クスダ」のお惣菜を使ってたってことなんですね。

山本・・・ええ。そういえば、大阪・靭本町の「ブーランジェリータケウチ」(※’13年西宮に移転オープン)のシェフ、竹内さんも来られてました。

―    関西のベーカリーの名店が勢揃いですね! 名シェフがみなさん直々にお店に来られてたんですか?

山本・・・はい、よく来られてました。「わぁ~来てる!」って厨房でひそかに思ってました(笑)。

―    西川さんも竹内さんも、ハムやお惣菜にすごくこだわりがありそうですもんね。

山本・・・そんな西川さんつながりで東京・世田谷の「オーボン・ヴュータン※」の講習会にも行かせていただいたんですよ。
※日本のフランス菓子の第一人者の川田勝彦さんのお店。

―    このお店ですごくいい経験ができたんですね! パン屋さんだとかえって同業者とは出会いにくいかも。県外に思い切って出たからこそ、得られた収穫でしたね :-D

山本・・・そうなんです! そんなふうに「クスダ」でいろんな刺激をもらううちに、「私もまたパンを作りたい」という気持ちがふつふつとわいてきたんです。
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(つぎに続きます!)